がんちゃん

ファンタスティック・フォーのがんちゃんのレビュー・感想・評価

2.5
ヒーロー映画の禁じ手「自業自得」ネタを1作目からぶっ込んでしまったリブート失敗作。
とはいえ過去作を含めると3作目なので、ここらでやらかしたい気持ちもわかるがね。

※自業自得ネタとは…ヒーロー自身の過失によって危機を招いてしまう筋書きで、マンネリ化してきたシリーズものに多い。悪役は主人公を精神的にネチネチ追い詰めるタイプ。
例…「ガメラ3 レギオン襲来」「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」「バットマンVSスーパーマン」「るろうに剣心 THE FINAL」

【ここがファンタスティック①】
ますば主人公の設定を白髪まじりのナイスミドルから10代のオタメンにリブート。マーケティング臭がすげー!
キャラクターの権利が作家ではなく出版社にあるアメリカならではの改変。ファンならキレてもいいやつ。

【ここがファンタスティック②】
主人公が若返ったついでに、能力を得るきっかけを「不慮の事故」から「若さゆえの過ち」に改変。しかも、それぞれ能力が本人の業(カルマ)を反映させているようにも見える点が面白い。

ドクタードゥーム:本音を言えずにいたのでお口を塞がれてしまいました。

ヒューマントーチ:やけっぱちな性格のため炎に焼かれてしまいました。

インヴィジブル・ウーマン:一見被害者のように見えて、実は弟の非行や恋愛トラブルなど男を破滅に導く生粋の下げマン体質ゆえ、存在を透過処理されてしまいました。

ミスター・ファンタスティック:人の役に立ちたいなどと口では言うものの、本心はただ自分の好きなことがしたいだけという軟弱野郎のためゴム人間と化してしまいました。

ザ・シング:こいつは親友が犯した罪の象徴。岩のように重い責任を背負わされた悲しきモンスター。

…なんかヒーローというより昭和の怪獣みたいなオリジンだな。環境汚染でヘドラが生まれる感じに近い。

【ここがファンタスティック③】
ならば「贖罪系ヒーロー」路線をいっても良かったはずだが、本作の若者たちは真逆の「開き直り系ヒーロー」という新ジャンルを攻めてくる。

贖罪系ヒーローといえばアイアンマン。トニー・スタークは自らの過ちを認めて、大いなる力を人助けに転用することで罪を償おうとした。これはとても勇気のいることで、共感を呼ぶ。

一方、本作では人助けを行うシーンは皆無なばかりか、自国の戦争に加担したり、主人公に至っては「これが僕らの運命なんだ!」と正当化する始末。
岩男になることが運命だと言われたベンの気持ち、お察しします…。
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