ぬーたん

静かなる叫びのぬーたんのレビュー・感想・評価

静かなる叫び(2009年製作の映画)
4.0
ドゥニ・ヴィルヌーヴ(舌噛みそう)監督作品。『灼熱の魂』『プリズナーズ』と驚きの作品を作る。この作品はそれより前2009年カナダ公開なんだけど日本では2017年公開、それも目立たない所で。遅過ぎる~こんなに良い作品を寝かし過ぎ!腐るっつーの。
実話ベース、モノクロ。映画と言うよりドキュメンタリードラマ。77分という短さは実際に起こった事件をなぞるに過ぎないのか?と思ったが、なかなか面白い角度から描き感情移入させ、より臨場感を増している。
1989年、カナダの大学構内で起きた銃乱射事件。この当時こういう無差別銃乱射事件はアメリカでは割とあったが、カナダでは珍しいのではないか?しかも無差別ではなく銃撃相手を選んでいるところがより恐ろしい。犯人の動機、怒りが見えてかえって恐ろしくなった。
被害者の中で焦点を当てているのが女子学生のヴァレリーと、男子学生のジャン。この2人は友人ではあるが恋人ではない。
一方、犯人にもかなりの重点は当てられるし、その行動は丁寧に描かれる。しかし、その恐ろしい行動はゆっくりで冷静で、時間の感覚がよく分からない。あまりにも助けが来なくて観ていられない。警察は何をしていたんだろう?
ピカソの『ゲルニカ』の絵。流れる血が重なり合う。モノクロだから赤ではなく黒。監督のこだわりが、切り取ったシーンを印象付けいつまでも忘れられない映画となった。
悲惨としか言いようのない事件は、生き残った彼らのその後まで影響を与え人生に翳りを見せた。その一方で、僅かな光、希望を灯したラストが観客までも救ってくれる。
あぁ、上手いなあこの監督は。ギュッと凝縮された、濃厚な77分。

※おやつは荒尾梨。本場物が食べたくて、熊本県荒尾市にふるさと納税したけん!おっきな梨でビックリしたとよ!あまーい、うまかっ!
※夕飯はちくわの磯部揚げ(そのまま+チーズ入り)きんぴらごぼう、トマトサラダ。たことキュウリの酢の物。和食はよかばい!
ぬーたん

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