エグいって聞いてたから避けてたけど、見て良かった!たしかにエグかったけど面白かった!!
序盤はまじで目を覆いたくなるようなシーンの連続なんだけど、アクション映画としてもSF映画としても質が高い。
最後尾の人たちが1両ずつ前に進んでいく戦いが見ていて面白いし、少しずつ世界の全貌が見えてくるのも少年心をくすぐられる。後半に伏線が回収されるのは当然なんだけど、全部予想外の展開で最後まで楽しめた。
列車を舞台にしたというのが面白いよね。こういう階級ディストピアを描こうとすると、石田衣良のブルータワーみたいに塔を舞台にしがちに思うんだけど。
閉鎖生態系とか「順序よく階級が並ぶ」とかの話は塔でもできるけど、設定に多少無理があっても列車の舞台にこだわったのは、植民地支配への批判が念頭にあったからなのではないかと思う。
列強が植民地に入るとまずすることが鉄道の建設だというし、実際に鉄道を利用して国からあらゆる資源を奪っていったわけで、「世界中を結ぶ鉄道を作る」というのも帝国主義そのものじゃん。
たいまつのシーンもめちゃくちゃテンション上がったよね。原作なのか映画オリジナルなのか分からないけど、韓国はソウルオリンピックに伴って民主化がされたとのことで、抑圧からの解放とオリンピックを結びつけて、あの聖火リレーのシーンが生まれたのでは、、、と勘ぐってしまう。
だからこそ、列車を奪って革命成功で終わりではなく、この終わり方じゃないとダメなんだなと思った。
エスキモーみたいな人と出会うあからさまな終わり方より「シロクマが生きているということは、人間が生きられない環境ではないはず…!」と確信させる。
わずかな希望をにじませるというのが粋で、「ああ助かった」という手放しのハッピーエンドではなく、「希望はあるから頑張ろう」というメッセージになっているのがいい。
そして今まで黒々とした汚い車内を延々と見せつけられた後に見る、銀世界とシロクマの美しいこと。どれだけ厳しくても外の世界は美しいなあと思ってしまうよ。
それにしても今まで線路が崩れたり埋まったりしていないことや、脱線しなかったことはいくらなんでも無理があるし、最後にタイミングよくああなるのはもっと無理があるやろう笑
オクジャから2本目なんだけど、この監督の映画結構好みだな。
ただ、自分たちが食べているものが本当に自分たちそうだと信じている食べ物なのか自信がなくなってしまう。。