松原慶太

危険なプロットの松原慶太のレビュー・感想・評価

危険なプロット(2012年製作の映画)
3.6
フランソワ・オゾンらしい上質なサスペンス。主人公はあまりパッとしないリセの国語教師ジェルマン。近ごろはロクな生徒がいないと愚痴をこぼしている。あるとき作文に非凡な才を示す生徒クロードを発見。かれに文学の手ほどきを始める。

その生徒の文章は魅力的でありながら、モラルに触れるような内容も含んでおり、つねに「続く」で終わる。国語教師とその妻(美術商)はしだいにそのフィクションに翻弄されていく。

国語教師はウッディ・アレン似の風貌で、妻とのやりとりはややコミカル。これが新鮮。物語全体が、現実とフィクションの二重構造になっている点は「スイミング・プール」同様。

主題とは直接関係しないが「中国」が随所でキーワードになっている。主人公の妻は画廊で中国人のコンテンポラリーアートを扱っている。
また、クロードがフィクションの中で接近する「中流家庭」の父親は中国人あいての仕事をしている。父親は「中国は未来だ」と言い、やがて家族は新天地を求め中国に移住することになる。
松原慶太

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