ウォーターライブラリー

哀しみのベラドンナのウォーターライブラリーのレビュー・感想・評価

哀しみのベラドンナ(1973年製作の映画)
5.0
線の細く淡い色使いと暗く思いよどんだ色使いの使い分け。ひたすら動くショットと静かなショットの対比。テーマ曲の曲調の使い分け。悪魔と純潔。これらが、神権政治の抑圧と(性も含めた)解放のテーマを強調する。さまざまに振り回されたのに、魔女になったジャンヌとジャンが再会して愛がもう一度結実するところのアニメーションの、緩やかな動きと白を背景とする色彩に、引きつけめいて制御できない涙を起こしてしまうくらいに心揺さぶられてしまう。最後に燃え落ちる磔の十字架は、崩れゆく神権政治国家の象徴だったように思える。

国立映画アーカイブにて何度目かの再鑑賞。