こたつむり

ロフト.のこたつむりのレビュー・感想・評価

ロフト.(2008年製作の映画)
3.6
♪ 私は今 
  南の一つ星を見上げて誓った
  どんな時も微笑みを絶やさずに
  歩いて行こうと

ベルギー産のミステリ。
「五人共同で使う不倫部屋(これがタイトルに繋がる)に転がる死体。しかし、警察に届けると不貞行為が家族にバレてしまう。はたして彼らはどうするのか…」という物語です。

だから、基本的に主人公たちはクズばかり。
不倫部屋を用意した建築家。浮気相手に心を奪われる医師。他人を傷つけることに無頓着な男。クスリを乱用する遊び人。誰も彼もが下半身で物を考えているのです。

何しろ、綺麗な奥さんがいるのに、パーティで話す内容は「誰を口説くか」ですからね。社交パーティは夫婦揃っての出席が基本なのに…すごい度胸ですよね。

ゆえに物語も痴情が上や下やの大騒ぎ。
死体は誰なのか…とか。
犯人は誰なのか…とか。
そんなことよりも脳裏を過ぎるのは、湿った汗の香りが漂う寝所の営み。いやぁ。ここまで下半身主導だと清々しいですね。

ただ、そんなグチョグチョな展開ゆえに。
真相に繋がるヒントが少なくて先を読めません。人格を疑われるかもしれませんが、ミステリ好きの口角が上がるのは“謎”。この手探り状態は逆に嬉しいのです。

また、そんなミステリ好きを嘲笑うかのように“伏線(と思わしき要素)”がゴロリと転がっているのも良いのです。ラテン語のダイイングメッセージ。不動産屋に紹介された夫人。この“あからさま”な描写は故意なのか。それとも偶然なのか。それを想像するだけでワクワクするのです。

まあ、そんなわけで。
転がるボールは右に行くのか、左に行くのか…。そんな姿勢で臨むと楽しめる作品。期待値は低めに設定することをオススメします。

最後に余談として。
本作の最大の謎…それは邦題の最後に付く“ピリオド”の意義。他の作品と区別したいのならば、邦題お得意の“サブタイトル”を付ければ良いわけで。「秘密の部屋と謎の死体」とか「痴情最大の作戦」とか…って我ながらセンスの無さに肩が下がりますが…。

はたして貴方はその謎を解けるでしょうか?
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