emily

かしこい狗は、吠えずに笑うのemilyのレビュー・感想・評価

4.4
不細工でいじめられているみさが、かわいい事でねたまれてるイズミと出会う。二人はお互いの孤独な思いに共感し、固い友情をはぐくんでいく。しかしそのバランスが崩れ始めると凶器が牙を出す。

まず前半と後半で全くジャンルの違う展開を瞬時に切り替えてくるのが素晴らしい。自主製作らしいが、そのカケラも感じさせない。夕日のキラキラした感じや光のはかなさを多用した女の子達青春映像から、影が入った映像へ徐々に変わっていく。ちりばめられた小物の使い方も見事で、音や色にも意味をもたしてじりじりと迫りくる怖さを演出している。

セリフにナレーションをかぶせたり、画としても美しい場面もあったり、なにより女の子二人の性格がしっかりと外見やしゃべりく口調に出ていて、非常にリアリティがありました。

生理痛から始まるところも、ただの青春映画で終わらない予感を感じさせますし、なによりそれを和らげるツボの下り、距離が縮まるエピソードにぴったりだと思います。

女の子二人の友情が芽生えるとき、一人が不細工で一人がとってもかわいいというのが非常にリアリティがあって、また親友へ距離を縮めても、私の中ではやっぱりかわいい女の子は得をして、不細工は損をすることが多いと思うんです。
かわいい子が自分の引き立て役として自分より”下”の外見の子を選ぶ気持ち女子ならわかるんじゃないかなぁ。

私もすごく共感できましたし、正直はじめからこの友情嘘だろって思って、イライラしながら見てました。
しかし着眼点はそこではないんですね。独占欲が生む狂気なんです。でもこれも少人数派で友情をはぐくむ人ならすごく共感できると思います。底にはやっぱりただそばにいてほしい。っていう純粋な気持ちがあるんです。しかしそれがバランスを崩すと破綻するのは簡単。女二人の親友関係って世界が出来上がってしまって、見失いがち。なにでも深入りするとろくなことにならない。特に簡単に距離が縮まった友情関係は、また壊れるのも簡単なのだ。
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