雨丘もびり

リアリティのダンスの雨丘もびりのレビュー・感想・評価

リアリティのダンス(2013年製作の映画)
3.5
「金は血なり。循環すれば活力になる。
 金はキリストなり。分かち合えば祝福される。
 金はブッダなり。行動しなければ得られない。」

実父からの体罰とマチズモ洗脳、実母からのナゾすぎる期待のゴリ押しに苦しみ続けたA.ホドロフスキー監督が、その宇宙一ビッグなファンタジー脳をフル回転させて、両親を許そうと試みる思想実験。

【願望を願望で返す】
子供の願望で両親の来歴を書き換えるwことで、父と母が抱えていたコンプレックスをフィクションで解消し、映画の中で幸せな人生を生き直させてあげる。このやり方には暴力性も感じるけど、それこそが"愛"かも。
主要キャストはほぼご子息。父となり祖父となったホドロフスキーからの、生き方のプレゼントかもしれないわ。

ただ、これが映画として面白いかというと...("▽";)。
神話っぽい荒唐無稽なストーリー展開と、個人視すぎる心情をぜんぶ説明してくれるセラピーみたいな映像作品だから、わかるようなわかんないような気分のまま観てて正直疲れた。劇場で観てたらキツかったわ。
私は3日間くらいにわけてようやく観終えたけど、この映画が明日からの私をただちにおおらかで幸せな人にはしてくれない。

とはいえ、こういう過去との対峙方法は私の知る限り誰もやってないし、
オイディプスを鼻息ひとつで吹き飛ばしちゃうような、スターウォーズが芥子粒に見えてくるような、トンデモ境地に至ったじぃさまの次元違いなたわごと(超褒)に唖然とするばかりの映像体験は、世界の広さと私自身のちっぽけさをガボンと感じさせてくれてスガスガしい、かも。
やはりアレハンドロ・ホドロフスキー、人間のケッサク。
同じ惑星に産まれてこれて光栄ですわ。