このレビューはネタバレを含みます
ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地に棲むシングルマザーのジャンヌ・ディエルマンの日常を描いた作品。
裏稼業で組織の暗殺者やってるわけでもなく超能力に目覚めるわけでもなく物体Xに襲われるでもなく本当に「変わり映えのしない毎日」をひたすら3時間映し続ける。
夫は死別、妹はカナダへ移住、息子は毎日学校へ行く。
朝は起きたら靴を磨き、コーヒーを淹れ息子を起こし、昼は家事をこなし食事の準備をし、間男を部屋に入れて、夜は食事の後息子の宿題を見て、夜の散歩。
変わり映えのしないようでいて、毎日少しずつ募っていくしこり、靴磨き用のブラシを取り落としたり、食器を落としたりと言った些細なことが積み重なって。最後の最後で頂点に達する。
日中ほぼ1人なのに独り言はおろか鼻歌すら歌わず淡々と過ごす姿が逆にすげーって思ったりするのだけど、他人の生活を覗き見るような、そんな感覚、面白いかと言われればエンタメ的な面白さは皆無なのだけど、なぜか見入ってしまう魅力のある作品だった。