漱石枕流

エヴァの告白の漱石枕流のレビュー・感想・評価

エヴァの告白(2013年製作の映画)
3.7
20年以上前のNY旅行で、エリス島とそこにある移民博物館を訪れた。ここにはもともと移民局があり、当時はこの島からアメリカに上陸したということだった。ただ、あまり印象に残らず、本作を観るまでそのときのことを忘れていた。

〝移民でできた国なのに、新しく入って来ようとする移民には排他的〟というパラドックスが描き出された映画だった。今のような人権重視の時代ではないから仕方なかったのかもしれないが。

主人公が娼婦に身を落とす様があまり悲劇のように感じられないのも、もっと悲劇的なひともいるからだ。送り返されなかっただけでもマシだったのだろう。

後半は三角関係に比重が置かれるようになるが、境遇はさらに混迷を増す。この辺はこちらの予想を裏切る展開で少し驚かされたが、終盤にかけても期待できる兆しはなく、最後まで重い映画だった。

マリオン・コティヤールの演技もよかったが、なんといってもホアキン・フェニックスのカメレオンぶり! 役に完全に入り込んで演じているのだろう。テロップが出るまで誰だか気づかなかった。

愛の形もさまざまだが、憎めないケース。むしろ、救われたようなものを感じた。この作品での唯一の光は、彼のあの言葉だったのかもしれない。

[オリジナル音声+日本語字幕]2023/04/27 WATCHA
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