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ある過去の行方のemilyのレビュー・感想・評価

ある過去の行方(2013年製作の映画)
4.1
離婚成立のためにイランからパリにきたアーマド。妻マリーの元には再婚予定のサミールがいた。アーマドとの子供で長女のリュシーから衝撃の事実を聞かされ、徐々に色んな事が明るみになっていく。

複雑な家庭環境、それぞれが過去を抱えていて、自分本位な感情がむき出しになり過去が暴かれていく。些細な罪が、些細なすれ違いが、どんどん話を広げていき、自分勝手な心情のぶつかり合いがそれを助ける形で破壊的な方向へ進んでいく。会話のみから過去が暴かれていくので、嘘と本当が混じり、どれが事実か曖昧なミステリーを残すところがおもしろい。

根本となる植物人間のサミールの妻の姿は最後まででてこない。サミールの過去に向き合う形で最後に彼女が姿をあらわす。
それは未来を予告する絵でもある。

過去を暴いたところで過去はかわらない。しかし今は過去の積み重ねであるのも事実。

ラストの解釈も観客に委ねる形で、最後までミステリーを徹底している。

そこに巻き込まれる子供の素直な感情がいたたまれない。
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