OASIS

リトルファイター 少女たちの光と影のOASISのレビュー・感想・評価

3.8
ムエタイの選手としてリングに立ちファイトマネーを稼ぐ8歳の少女達を追ったドキュメンタリー。

弱肉強食の世界で生まれる勝者と敗者、光と影。
それはなにもプロの選手だけのものではなく、タイに3万人いるとされる少年少女のファイター達の中にも存在する。

本作は、家を建てる為の資金を稼ぐ少女スタムと、心臓病を患いながらも身体を鍛えようとする少女ペットを追っていて、二人がリングで相まみえた後勝敗が決まり、その後訪れる両者の成功と挫折までを描いている。
どちらが勝つかはとりあえず置いといて、勝った方も負けた方もこれから先倒れるまで戦い続けなければ行けないという果てなき日々の重さがのしかかってくる。

一晩で家が帰るほどの大金を持ち帰ってくる一家の稼ぎ頭たる少女にかけられる重圧は半端ないが、それでも「家族の為だから」と答える彼女達の笑顔は眩し過ぎて見ていられなかった。
そこには、いつか期待と不安に押し潰されて身体がボロボロになってしまうのではないかという危うさも見え隠れする。

大人達が戦いに熱狂する中、賭け金が釣り上げられるにつれて少女達の意欲も増していくというのは闘鶏を観ている様な気持ちになり眉を顰めたが、汗まみれ水まみれになって再びリングの中央に向かう姿には心打たれた。

お互いを取り巻く事情を知らないままリングでぶつかる二人という点で「クライング・フィスト 泣拳」を思い出したりしてまたジーンとくる。
スポーツ映画としてでは無く、背景には子供達が働かざるを得ない状況に置かれているお国の事情があるという所を注目して観た方が良い気がしました。
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