現時点でこのシリーズ４作品観ましたが、その中で本作が最も斬新な話が多く非常に愉しめた作品です。
１２話収録されており、１本６分程のショートホラーで世界観は『2ちゃんねるの呪い』で脚本担当だった廣木俊文の影響もあり『2ちゃんねるの呪い』と『世にも奇妙な』と都市伝説をミックスしたような感じですが、素晴らしいのは単にミックスしてお茶を濁すのではなく、その世界観からの脱却と云うか試行錯誤を重ねたある種実験的な作品がさりげなく用意されてます。
また、死後数カ月経ったミイラの造形や生存反応を上手に消し去った老人のメイク、まるで『トリハダ』に出てくるような生理的に受け付けない悪意を孕みほくそ笑む幽霊のメイク、そしてオカルトなのに血みどろ絵図等、特殊メイクでも魅せてくれるのです。

本作はオカルトなのに血の匂いが画面から終始漂ってくるのですが、鑑賞後『怪談新耳袋』でも名前をお見かけした事が有る、本作監督の朝倉香葉子さん、２０１３年６月に長編デビュー作品『クソすばらしいこの世界』が公開されました。
この作品、ポスターに写し出されてるのは血みどろの女性。
どうやらジャンルはスラッシャーみたいで、なるほどだから本作でも序奏じゃないですが、殺人がテーマでは無い内容の作品からも画面から血が滲み出てくるような錯覚に襲われるんですね。

ちなみに、特殊メイクを担当したのは吉川公子さんと云うこれまた女性のクリエーターで、本作ではツボを心得た素晴らしいメイク技術を惜しみなく披露されてますが、なぜか次作の出来栄えが本作と比べて格段に落ちているのです。
何か裏事情があったのか素人に伺う術もありませんが、本作に限って云えば素晴らしいクリエーターですね。
この２人の新進気鋭女性クリエーターの今後の仕事ぶりがめっちゃ愉しみです。

「産んでないし」「ご親切にどうも」「ＲＥＣされたもの」「ヤリ逃げ」「秘密のある家」「あの公園のあの娘」「深夜の倉庫」「人気の病床」「彼の浮気」「まゆこ」「落とし物」「順番待ち」収録
それなりの水準をそれなりに保っているホラーオムニバス
おばあちゃんストーカー幽霊の「ご親切にどうも」
丑の刻参りの列に紛れ込んでしまった「順番待ち」が良かったです
「まゆこ」はちょっと意味が…
ちょっとブラックコメディ？なのか？「ヤリ逃げ」はもう少し突き抜けていたら面白かったかも
「産んでないし」は主演女優が微妙

変わった角度のが逆に面白い