ふき

リンカーン/秘密の書のふきのレビュー・感想・評価

リンカーン/秘密の書(2012年製作の映画)
4.0
飲み屋でボンクラたちが「なあリンカーンが実はヴァンパイアハンターだったら超カッコよくね? こう斧ぶん回してさ、ヴァンパイアがドカーンって――」――と盛り上がったことから生まれたかどうかは知らないが、そういう作品。

ヴァンパイアとはいえホラー映画ではなく、正統派なアクション映画だ。ツボを押さえた見所満載のアクションシーンは、ド派手だが見やすく整理されており、スルスルと楽しめる。
また、PVを見た時の「リンカーン、あんた、何やってんのww」感とは裏腹に、思ったよりちゃんと史実に忠実なリンカーンをやっていて、しかしアメリカの歴史を知らなくても問題ない、グッドなエンターテインメント作品となっている。
アメリカ南北戦争の南軍を牛耳るヴァンパイア側の事情や、リンカーンが大統領に就任する前後のいきさつは描き混み不足かもしれないが、まあ、適度な割り切りとも言えるだろう。

……が、少々意地悪な言い方をすると、「アメリカの汚い歴史は全部ヴァンパイアのせいでした」という話で、気になる人は気になるかもしれない。いや、一歩引いて過去数千年前からの人類史を俯瞰する視点が入るけど、「先住民の虐殺や南部の黒人奴隷はヴァンパイアがやりました」というのは、うん……。
最後にいい話に着地しているだけに、個人的にはそこが不快になる点だった。
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