こたつムービー

白い指の戯れのこたつムービーのレビュー・感想・評価

白い指の戯れ(1972年製作の映画)
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村川透の処女作でも観てみるか、という出来心から再生すると「日活マーク」がデーンと出る。「おや。東映じゃないのか」なんて見始めたら



前に観てた



笑。冒頭、渋谷の純喫茶でデジャヴ発動。
この作品、神代辰巳作品と記憶違いしててタイトルも失念してたんでそうなった模様。

これ面白かった記憶しかないなあ、と気を取り直し観たんだが、うん、面白い。日活ロマンポルノに詳しくないがこの作品は傑作に属する。

渋谷「トマソン」、新宿紀伊國屋(←よくロケOKしたなという内容)、たぶん井の頭公園、新宿駅半地下、たぶん戸山公園付近、新宿御苑前と東京ロケが気持ちいいし、そこには当時の空気感しかなく今観ると時代を吸い込むよう。荒木一郎のニヒルさと手馴れたギター。そして何より伊佐山ひろ子が進むごとに演技も存在も魅了的に変化し(ほぼ順撮りだろう)、オンナ(あえてカタカナ)の成長ものだ。

ちゃんと「手口」を描写する真面目な犯罪ものとも言え神代辰巳がメインプロット。
最初のサミュエルホイ似の男が退場以降出てこないのは「荒々しくていい」っちゃいいが、途中かラストに出てきてほしかったな。そうすれば少女から「オンナ」に変わったサマがより際立ったのに。とは思った(おそらく相手にされないからね)。

またこの頃の荒木一郎はホントいいんだよな。個人的には「伸び悩んだ勿体ない才能」の一人と数えているよ。もっとも若者役からの脱皮は誰しも難しいが。

いずれにせよこの時代的気運が「愛のコリーダ」へと流れてゆく、とも充分感じ入る作品。
村川透はその後ロマンポルノを数本撮ると消えてしまう。6年後、東映セントラルにおける再起作「最も危険な遊戯」で魅せた作家性のジャンプアップはこの良作をもってしても想像は難しい。それだけ「最も危険〜」はフロック的で凄いことだと改めて思った。彼(村川)のアクション性は脚本家と俳優と気まぐれさで伸び縮みするのかもしれない。