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アブダクティのcyberiancorgiのレビュー・感想・評価

アブダクティ(2013年製作の映画)
3.5
結果:ぬっくんと2人きり90分、案外耐えられる新しい発見。(逆にあちら様が耐えられるどうか)
密室コンテナで温水、異質な温室が隠喩するもの(たぶん)一切なし。至ってシンプル温水ジャストアブダクト。
ワケも目的も行き着く先も分からない中でも物語が停滞することほぼ(ほぼ)なく、人物、背景、状況、過去、繋がり、因果、映画として当然のことが少しずつ分かってくる当然のことに、予想外に感動した。ちゃんと最後まで飽きずに楽しめた。意外と見入ってた。何でこんなので。
人生どん詰まり進むべき道なし八方塞がり過去に縛られ身動き取れないがんじがらめ、心の奥底への逃避、引きこもるためのシェルター、こっちが予想するこの状況の意味ぜんぶ放り投げて、過去の清算と未来への展望、諦めた夢の続き、人生の岐路と選択、それらしくやってみたもののそれぜんぶ放り投げて、そのあとに残ったもの。
かろうじて私なりに受け止めれた。
頼りない不甲斐ないだらしない威厳も地位も名誉もお金もない、非力で無力な世のパパたちが本来持っているはずであろう秘めたる本当の底力は、いつどこでどうやったら発揮できるんか。彼らはいつかはヒーローになれるんか。
ふつーに考えて、人生においてそんな劇的な瞬間はそうそう簡単には訪れないし、その場面で正しい選択ができるとも限らないし、あっても気付けないかも知れないし。
その必然性を持続して物語を織り上げてゆくのはたぶん非常に難しいことだから、だったらいっそラストのあの瞬間を最初に決定してしまえば、あとは逆算でいけんじゃないか。
あのバカげたカットに到達するには、その直前に彼の開花が必要で、ただの凡人がその一線を越える為には本人の強い意志とちょっとした外的要因を添えて、誰かのピンチと自己の変革を望む理由が根本にあって、そう考えるきっかけと無力な自分を自覚することから始まり、それはある状況において自分がどう足掻いて行動してもまったく好転も変化すらしない場所で、それは自分の意思とはまったく無関係にそこに立たされて。
物語の始まりから終わりへの流れで見ていると、ほんとバカな無茶苦茶な展開だったと思うけど、終わりから始まりに遡ってゆくとちゃんと整合性が取れてんじゃないの、謎に納得できてしまった自分が怖い。
誰だって、ヒーローに救世主になりうる可能性はミジンコ程でもあるかも知れない、そのチャンスを的確に見定めて、自分の本来の力を信じて、その力で何をすべきかをちゃんと見据えて。
こんな人でもヒーローになれんだから、みんなだって諦めんなよ。の、こんな人、に当てはめられる温水洋一とゆう人柄、おもしろ。
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