OASIS

アメリカン・ハッスルのOASISのレビュー・感想・評価

アメリカン・ハッスル(2013年製作の映画)
3.4
1979年に起きた大物政治家たちの収賄スキャンダル「アブスキャム事件」を基にした映画。
監督は「世界にひとつのプレイブック」のデヴィッド・O・ラッセル。

70年代のファッション・音楽にのせて、豪華キャストのアンサンブルで魅せるタイプの映画で、確かに楽しかったが前評判程では無かった。
この感覚は同監督の前作でも感じたものと同じで、「これがアカデミー賞を席巻?」という残念さが際立っていた。
アカデミー賞自体の権威が落ちる所まで落ちた今では、一定以上のクオリティがある良作であれば取り敢えず褒めておけという風潮があるのかもしれない。 作品賞を取るだけのものかと言われれば、そこまでではない。
同日公開の「ウルフ・オブ・ウォールストリート」が放つ熱量が尋常では無かったので、トーンが抑えめなこちらはいまいちノレなかった。

クリスチャン・ベイルの尋常ならざる役作りは言わずもがなだし、ジェニファー・ローレンス演じるロザリンの、強かで生き残る知恵を備える天性の口の巧さも良い。
でも一番印象に残ったのがエイミー・アダムス演じるシドニー。
彼女が映画の中では最も振り幅が大きく、普段とは違うセクシーな面を見せてくれたのでファンとしては嬉しかった。

C・ベイルがハゲを必死で隠そうとする映画の導入部分、そしてアーヴィングとシドニーの馴れ初めから現在に至るまでの物語前半は、軽妙な語り口でテンポも良い。
しかし、シドニーがリッチーとなんだか怪しい関係になったり、アーヴィングとロザリンの間にある蟠りが大きくなっていく過程を描く中盤以降が長く、なかなか本題に辿り着かずに中弛みしてしまった。
確実にテンポが悪くなり睡魔の波が押し寄せてきた。
ジェニファー・ローレンスはまたメンヘラの役かよ・・・とがっくり来てしまったし。
軽快な駆け引きを期待した分、ロマンス部分に惹きつけられるものが無かったので長く退屈に感じてしまいました。
だが終わってしまえば、この話自体がアーヴィングとシドニー二人のラブストーリーだったと気づく。
騙し騙され、自分さえも騙してきた二人が今までの生き方を捨て去った時、また再び出会った時と同じように歩み始める所に爽やかさも感じる。

「スティング」のようにラストで騙される快感もあるし、キャストも魅力的。
大絶賛までは至らないが、良作の部類ではあります。
一番笑ったのは唐突なマイケル・ペーニャとロバート・デ・ニーロ。
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