ますみん

her/世界でひとつの彼女のますみんのレビュー・感想・評価

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
4.0
近未来で、高精度な人工知能と恋に落ちる男の話。
主人公セオドアの仕事が手紙の代筆ライターというのが面白かった!現代ではSNSの発達から、個人に送るメッセージは短く担的で、世に発信する情報は華美に装飾されがち。そんな中、今では薄れつつある文化の手紙や長文のメールを代筆しているなんて!
パソコンに手を使って打ち込むのではなく声を発して書き込んでいくのは、ただ効率がいいというだけでなく、より気持ちが込められるような気がする。
映画の中ではみんな小さなイヤホンで電話したり人工知能と歩きながら会話していて、まわりに人がいてもおかまいなしに喋っている。個の世界に浸りやすいのはまさしく現代をそのまま未来へ進化させた姿だと思った。だからこそ、ふと誰かに思いを伝えたくなった時にどんな言葉を紡げばいいのか分からなくなる。代筆ライターの仕事は今は希薄でもこの先重宝される時がくるんだろうな。

セオドアは会ったことのない誰かの依頼で、何年もその恋人への手紙を代筆している。出会いのきっかけや歯並びの話、二人の思い出を手紙に織り込んでいる。
遠くの誰かに思いを馳せる日々の中で、目の前(耳の中だけど)に現れたのがサマンサだった。そのサマンサが、たまたま人工知能だっただけ、なのかもしれない。
ますみん

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