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何食わぬ顔のBigsのネタバレレビュー・内容・結末

何食わぬ顔(2003年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます


濱口竜介監督特集上映 「言葉と乗り物」 @元町映画館

『何食わぬ顔』long version(98分)

濱口監督が東大卒業前に、映画研究会で最後に撮った作品。全編8ミリフィルム。

過去のインタビューによると、
"一つのけじめとして『何食わぬ顔』という映画をつくりました。今でもたまに上映したりすることがありますが、自分の中では、人に見せてもいいかなと思える最初のものです。" とのこと。
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/interview/graduates/vol_10/


以下、感想。

現在の形になる途上の作品だけど、劇中劇や乗り物の使い方、強烈な印象を残す会話や朗読と、濱口監督らしいエッセンスが随所に見受けられ、やはり面白い。
監督自身がメインの役所で出ているが役者としても魅力的。

死んだ先輩の代わりに遺作を完成させようと続きを撮影する若者たち(野村ら3人)と、完成した作品の劇中劇による二部構成。

乗り物により、会話或いは朗読でもダイナミズムが生まれる。電車内も印象的だけど、冒頭の競馬は迫力あったなあ。
劇中劇の構造。映画や演技、表現、フィクションが生み出す何か、現実の他者理解を手助けするような役割、そういったものを追求する濱口監督の原点を見るようだった。劇中劇であることでその中は演技であることが強調されるが、演技を超えて現実に迫ってくるような感慨もある。劇中劇の方が実名なのも不思議な感触。
濱口さんによる宮崎くんの話やそれに対するリアクションは、なんてことない、普段もあり得そうな感じなんだけど、居心地の悪いような会話で強烈な印象を残す会話劇だった。ラストのインビジブルサッカーも印象的。サッカーは序盤にも出てくるが、パスゲームもよく出てくるモチーフ。
辞書の朗読も、他の作品の朗読劇を思い出す。やはり広く表現というものを問うているような。


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もうなかなか観られないかもしれないのでストーリーメモ。

喪服の3人による競馬観戦から始まる。タバコをもらう。電車移動、金を渡さない。夜中にサッカー。野村兄の映画の続きを撮ろうというと岡本(濱口監督が演じる)の提案。後輩や先輩に連絡。ホテルのシーンから撮影、部屋と廊下。ボーリング場。電車で空港ターミナル駅?まで移動。フィルムを電車に忘れる、皆からカンパしてもらう。空港の屋外で撮影準備。昼食に行き戻ってこない後輩。野村と女性2人の会話、男の子のどこが好き?、俺は野村が好きと岡本。競馬場で撮影。競馬観戦シーン。馬とオーバーラップする走るシーン。競馬場の外のテラス席での会話。映画の続きを撮っていいのか、それは先輩の作品なのか。兄が死んで悲しいか。映画の上映会。野村の挨拶。劇中作『何食わぬ顔』上映開始。
空港から出てくる男女。タイトル『何食わぬ顔』。ホテルでの会話。喫茶店で別の男女3人の会話。競馬を勧める男。それ以外の2人はちょっとした恋仲に。ホテルの男と喫茶店の女は高校の同級生、帰る前に一度会うことに。競馬場で3人と、男が合流。競馬観戦。外のテラス席での会話。いじめっ子顔(濱口監督)。宮崎くんの話、いじめっ子だと決めつけられた濱口、学級会、先生のせいで皆が宮崎の嫌な所を言う、先生は宮崎は絵も上手くて良い所もある、許してやってほしいという。頭がおかしい先生。まだ許せないやつと聞かれて手を挙げる濱口。そこまで話して、女は居た堪れず席を立つ。宮崎の気持ちになって気持ち悪くなった。帰る女と恋仲の男。濱口とホテルの男は2人でボーリングに行く。別れのホーム。また会えたらいいな、首をかしげる男。ホテルに戻る男。女に花を渡す。女の部屋をノックする。翌日、帰るために電車に乗る2人。男は「夏が終わってしまう」と言う。「夏」から順番に辞書の言葉を朗読する女。なつめくの次はナツメグですよ。二年後、ボーリング場に集う5人。競馬場。そこから出て濱口とホテルの女、他の3人は別れていく。3人は並んで公園を歩く。頭の中でサッカーしようと提案。交互にパスやシュートを出す。走り出す男。終
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