アルフレッドおじさん

子宮に沈めるのアルフレッドおじさんのレビュー・感想・評価

子宮に沈める(2013年製作の映画)
3.9
前から観たかった。
時間出来たんで視聴。

【この物語を一言で言うと】
3才の娘と1才の息子の母親である由希子は幸せな結婚生活を歩もうと精一杯生きるが、離婚し、シングルマザーになり、仕事も上手く行かず、生活も荒み、やがては育児放棄して、最後には全裸で外を眺める話。

【この物語を通して主人公は何を手に入れるのか?】

新しい生活

何が欲しかったのか…新しい生活

何が必要だったのか…娘と息子の幸せ

差分…新しい生活と娘と息子を天秤にかけて新しい生活を選択したが、それは社会的には誤りだった。

【似たような他の作品と何が違うのか?】

固定カメラ、BGMなし、説明なし、で、リアリティを高めている演出

【感想】

かつて、こんなにロールキャベツが嫌だなって思った映画ないすよ…。何やってくれてんねんって思いました。人様の感想を読んでいると洗濯機の話が多いですよね。確かに洗濯機も酷い。でも、僕はロールキャベツの方が辛かったです。冒頭の幸せを象徴するロールキャベツ、優しく丁寧に巻いたあのロールキャベツを、最後、あのシーンで想起させるって酷だなぁと思いました。

赤い紐は常に親子の紐帯を隠喩しているのは意識していたんですが、それを最後の最後にあんな形で持ってくるかね…っていう。空くんのお誕生日のシーンも印象的だし、演出が、とにかく心を抉ってきます。

リアリティを突き詰めるなら、不潔で糞尿塗れの部屋、肌も湿疹でボロボロになって痩せ細ったサラちゃんなどという演出もあり得たんでしょうが、さすがにそこまでは時代が許さないんでしょうね…。現実は、もっとエグいということは肝に命じておきたいです。

父親だと、こういうテーマ出来ないもんなぁ…。改めて母親というものが、いかに特別であるかを考えさせられました。

名作だと思います!