Masato

子宮に沈めるのMasatoのレビュー・感想・評価

子宮に沈める(2013年製作の映画)
4.8
鬱映画特集

鬱ランク S

今まで見た中で最も辛かった映画かもしれない。育児とは人間には切っても切れないものだし、現代の日本において問題になっている育児放棄を問題に扱っているし、他人事とは絶対に思えない映画。似たような事件があったらこの映画を絶対に思い出してしまう。

この映画は、苫小牧市幼児死体遺棄事件と大阪二児餓死事件を基にしています。Wikipedia等をみると、まんま映画の内容と事件の内容が被っているので、できれば鑑賞後に見ると良いです。昔あったACによる育児放棄のCMの映画版みたいな感じ。

見る前に絶対に注意して欲しいのは、軽々しい気持ちで見てはいけない。内容的にもそうだが、描写が想像以上にキツくて、感受性の富んだ人だと恐らく数日間立ち直れない可能性もあるので。
あと、子持ちの人に是非とも見て欲しいけど、心が傷つくことを前提に見て欲しい。
これは誇張ではなく本当に。

ドラマチックに描くことはしないで、モキュメンタリーぽく描いていること。殆どが定点カメラで、監視カメラ映像を見ているよう。
淡々と映像にすることで、ネグレクト問題を顕著に描き出すことに成功している。派手な演出にしないことが物凄く良い効果をだしている。

絶対に妥協せず、ソフトな描写などにしないで事細かに描写している。様々な映画を見てきたが、ここまでの描写は見たことない。ちょっと心が引き裂かれる。あまりにも衝撃的。

この映画を見て思うことは、ただただこんなことにならずにちゃんと育ててくれた親に感謝しなければならない。一歩間違えれば私もこの事件の子どもたちのようになっていたかもしれない。
私の友人の家族で、シングルマザーながらも3人の子どもを育てて、偏差値の高い高校に入れている親がいるけど、本当に凄いなと思った。

自分は男だけど、いずれ結婚したらこのような問題も他人事ではない。育児につまずいた時にこの映画を思い出して絶対にやってはいけないことがあるということを心に留めなければならない。

誰が悪いとかそういうものじゃない。単にニュースとして、いずれ自分もそうなってしまうかもしれないということも含意せずに過ぎ去っていく問題に対して、こうして向き合っていくことが大切なんだと教えてくれる映画です。
Masato

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