Masato

神さま聞いてる?これが私の生きる道?!のMasatoのレビュー・感想・評価

4.3

ケリーフレモン監督作品。本国で絶賛されていたのにもかかわらず、ビデオスルーでひっそりとリリースされたせいで注目度が低いが絶対に見るべき素晴らしい青春映画。

生物学的女性の性の目覚め、父方と母方の家庭においての異宗教間での争いを主軸とした青春映画なので、無宗教の日本人の生物学的男性の自分には遠い物語。しかし描かれることは子どもから大人に成長していく物語であり、宗教という存在をまだ宗教に触れていない子どもの目線から描いていくので問題はない。そして子どもの無邪気さが非常に微笑ましくて笑える。

日本は性教育が未成熟なことから、物語で女性の性について扱うことを忌避する傾向があるが、本作は真っ向からそれを描いていく。性別は違うので共感できるわけではないが、必ず起きる二次性徴のリアルを赤裸々に描いていることで、この物語の実在感がグッと増しており、よりドラマチックな感動を生んでいる。(そして微笑みも)

だからといって生々しさはなく、非常に優しい空気感に包まれたタッチでそれを描ききっている見やすさも最高。楽しさも不安感も説得力がありつつも、優しく描いていて疲れることはない。

私にとっては知ることが多い物語ではあったが、アメリカでは数多く存在していたであろう物語であると感じたので、その物語の特別感のなさも本当に良かった。こうして成長していくという、かつて体感したような感覚・感情を確かに描いていくことの素晴らしさを感じられた。

宗教で争う家庭の問題に苦悩する姿も、古今東西で起きてきている宗教戦争のくだらなさを彷彿とさせる。私もなぜくだらない宗教でケンカするの!と歴史やニュースを見て思うことがある。祖父母たちは未だにそこを乗り越えられないのに対して、バーバラはその一歩先を進んでいく。大人よりも大人な成長を見せるところがよかった。

原作はあるけど、宗教なんてくだらない。と投げかけて終わらせられるのは現代だからこそなのかな。アメリカでこのような描き方をするのはかなり珍しく感じる。でも描いていることは事実そのものでしかない。

レイチェル・マクアダムスとベニー・サフディの夫婦演技良かったあ。サフディの良い父ちゃん感好きだった。
Masato

Masato