ハル

ダブルフェイス 潜入捜査編のハルのレビュー・感想・評価

3.7
“インファナル・アフェア”は未鑑賞、ハリウッド版“ディパーテッド”のみ鑑賞の上でトライ。

率直にこれはこれでありだなと。
もちろんあの最強メンバーと比較したら…とはなってしまうが、マフィア→ヤクザの設定に変更して、違和感なくしっかりとした作りになっていた。

主演二人もさることながら、渋い味わいで流れを牽引していたのはベテラン小日向文世。
キーファクターであるボス役を自分流のアプローチで見事にこなしている。
ジャック・ニコルソンの貫禄ある立ち居振る舞いとは異なり、小日向文世が秘めたものは狂気。
スパッと切れるナイフのような冷酷さを身に纏い、日本版“インファナル・アフェア”の親父として君臨。
圧倒的な存在感で成立させていたハリウッド版コステロに対する彼なりの答えに感銘を受ける。

当然、西島秀俊と香川照之も迫真の芝居でそれに応えており、設定や演出も忠実に再現していたのが嬉しいポイント。
“MOZU”や“クライシス“の少し前の作品という事もあり、西島秀俊の快進撃はこの辺からスタートしている気がした。
“森屋”の鬼気迫る迫力からもチャレンジ精神みたいなものを強く感じられる。
元来の良さを引き継ぎながらも極道特有のシリアスさを演出に取り入れ、日本人に馴染みのある見せ方にしているのは巧みの一言。

警察とヤクザ、互いに潜入しているという対立構造上スリリングでピリつく緊張感に肝を冷やし、終始ハラハラ・ドキドキしっぱなし。
バレるかバレないかの瀬戸際の攻防に精神を削られ、焦燥していく様が実にリアル。
一番きついのはやはり警察→ヤクザに潜入している森屋だろう(西島秀俊)
ドラマや小説でよく見かける“潜入捜査”だけど、本当にしている刑事はいるのだろうか…
普通なら一日で精神が壊れそうな激務に思えてしまう…

ディパーテッドとは違う、悲哀を秘めた前編クライマックスの余韻冷めやらぬまま次作へ。
そろそろ“インファナル・アフェア”も観なければ。
ハル

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