とんちゃん

グランド・ブダペスト・ホテルのとんちゃんのレビュー・感想・評価

3.8
タイトルからしてハンガリーを舞台としたグランドホテル形式の作品と勝手な思い込みでしたが、架空の国の架空のホテルという設定。
とある若い女性がある作家の墓前の前に立ち、その作家が1985年に執筆したと思われる「グランド・ブダペスト・ホテル」を読み始める。
1968年に作家は『グランド・ブダペスト・ホテル』で、このホテルのオーナーであるゼロ・ムスタファから36年前の1932年、当時ロビーボーイだった頃に起きた出来事ついて語りだす…

作家役(名前不明)が1968年版がジュードロウ、1985年版がトムウィルキンソン。
たった17年であんなに変わるものなのかと思う笑
グスタヴ役を演じるのはレイフファインズ
途中グスタヴが捕まり脱獄し、警察兼軍人であるエドワードノートンが追います。
「レッドドラゴン」を思い出します。
他にも濃いオッサンどもガンガン投入されます。オッサンだらけの中に紅一点、シアーシャローナンの美しさが際立ちます。
マダムキラーのグスタヴでも口説きたくなる美しさです。

1932年の回想シーンに出てくる人物が正面を向いているシーンが多い。まるでアンリ・ルソーの絵画に描写されている人物画の様です。
映し出される背景の構図も如何にもルソー的な遠近感を無視した描き方になって面白い。
先にみた「犬ヶ島」でも似た様な描き方であったけど、あちらはアニメなので絵本を見ている感覚でしたけど

そもそも『鍵の秘密結社』って、何なのでしょうか?ホテルのコンシェルジュ繋がりかな、そんな気がしないでも無いけど
冒頭の作家の胸像に鍵が沢山掛けられているのも気になる。
どう言った意味があるのか謎です。

『メンドル』のあのスイーツ、始めは不味そうに見えたけど、何度も出てくる内に美味そうに見えて来た。無性に食べたい。

ハーヴェイカイテルの入れ墨が子供の落書き並みだし、「少年とリンゴ」の代わりに飾ったエゴン・シーレらしき生々しいエロな絵画が笑えた

コミカルなシーンが多いけど、ゼロムスタファがホテルを買い戻した理由が少し胸熱でした。