荒野の狼

猫侍の荒野の狼のレビュー・感想・評価

猫侍(2014年製作の映画)
3.0
テレビシリーズの“猫侍“が面白かったので、この映画版も期待して視聴。北村一輝と白猫の玉之丞の、その後を見たかったのだが、意外にもテレビシリーズのエピソードはなかったという設定。テレビシリーズを未見の人でも楽しめる作りになっているが、テレビシリーズのファンという人には、映画ではスケールの大きい活躍を望む向きがあろうが、次のような理由で期待通りとはいかない。
猫を斬る依頼を受けて、その猫を殺せずに飼うことになる設定などはテレビとほぼ同じで、しかもテレビの映像の使い回しが多い(北村と玉之丞とのからみや、北村の家族との回想シーンなど)。脚本と撮影の手抜きである。北村と玉之丞は、テレビ同様、魅力的だが、北村の設定は、猫もさることながら、人も斬ることができないようで、玉之丞と遊びながら笑顔をみせる(テレビでは決して笑わない)、酒を飲んで酔いつぶれるなど、テレビのような劇画からでてきたような怖い顔の男というイメージとは多少異なる。テレビで魅力であった北村の娘との回想シーンは、テレビシリーズの使い回しがほとんどで、時間も極めて短く、妻の横山めぐみの登場もとってつけたようで、テレビのダイジェスト版を見ているようである。
宣伝では、犬派と猫派の戦いが見られるということで、両者の対比がなされるかと思えば、特にそのようなこともなく、作り手が、あまり、猫派でも犬派でもないのではないかと思われる。玉之丞の新しい活躍が見たかったが、おもらしをしたり、北村の傘を壊したりという場面は、テレビとほとんど同じで、不満が残る(勿論、玉之丞の責任ではなく、作り手の問題。布団におもらしをするシーンはテレビの使い回しと思われる)。
むしろ魅力的なのは、犬派のヤクザの親分の小野寺昭の飼う巨大で愛らしい犬の甚太郎。猫派の私としては、甚太郎に玉之丞が喰われてしまったような思いがあり、なんとも歯がゆい。他に好演しているのは、用心棒の寺脇康文で、北村との対決は、時代劇ならではの見せ場。
結論として、テレビ版を未見の人で、テレビシリーズを見る時間がないという人には勧めるが、テレビのファンには、期待を裏切る内容といえる。どちらも未見の人には、テレビ版をすすめる。
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