みみみ

鑑定士と顔のない依頼人のみみみのネタバレレビュー・内容・結末

鑑定士と顔のない依頼人(2013年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

「いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む」

そんなヴァージル自身のセリフのように、偽りばかりだったクレアとの愛の中に本物があったのではないかとヴァージルが信じ続けるなんとも切ないラスト。

ただ最後のどんでん返しの強烈さはイマイチかも。この手の映画や作品が好きだったら途中で察せてしまう。(そもそもあの年齢差の人間があのスピードで接近するのにかなり違和感がある。)
とは言うものの、まさか仲の良い機械職人から始まり、職人の恋人、クレアの別荘の使用人からヴァージルの仕事仲間に至るまで身の回り全てがグルで嘘つきだった所はなかなかに衝撃ポイント。

見ようによってはハッピーエンドにもバッドエンドにも見えるが、個人的にはクレアの言動は全て偽りだったように見えるので(「何があっても愛しているわ。」との発言はあったが、あれはゴールを目前にすることができたある種の達成感から来てるのではないかと思う。)、「いかなる贋作の中にも必ず本物が潜む」という自身の思想からも愛ゆえの盲目からもヴァージルが抜け出せないバッドエンドに見える。
ただ、上記はあくまで第三者目線から見た時の話であり、今まで絵画の女性しか愛することができなかったヴァージルが人を愛することができるようになり、もう戻ってこないにしてもヴァージルは半永久的にクレアを思い続けることになるので、ヴァージル視点だとハッピーエンドなのかも。

なんにせよ、日本版コンフィデンスマンとも言うべき本作は個人的にはコンフィデンスマンよりもグッとのめり込んで楽しめたし、何より切なかった。
監督のジュゼッペ・トルナトーレ曰く、本作はハッピーエンドらしいので、機会があればもう一度見直し、ハッピーエンドのかけらを見つけに行こう。
みみみ

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