狭須があこ

エリザベート~愛と哀しみの皇妃の狭須があこのレビュー・感想・評価

4.1
自由を愛した絶世の美女、エリザベート皇后。
歴史上で一番好きな人物です(日本史なら…そうだな、明智光秀が好きだ)
宝塚や東宝でミュージカルをやるたびに、必死でチケット取って見に行く系のエリザベートオタクです。(珍しくONEPIECE以外のオタク話です)

今までで一番好きなエリザベートは瀬奈じゅんなんですけど、なんとこの映画、瀬奈じゅんが吹替やってるんだってー!
スゲー!豪華!
宝塚の時とも東宝の時とも違う、しっかり「声」の演技をしていました。可愛い系の声ではないけどw
男役なのでね。

映画というか、もともとテレビドラマだったのかな?
前・後編のDVDで、見ててもドラマっぽい印象は受けました。
ストーリーは、シシィの結婚から戴冠式までです。

ミュージカルで私たちが読み取っていた行間を丁寧に描いてくれる映画です。シシィに大きな影響のある人物しかステージに乗ってないインパクト重視のミュージカルと違い、シシィをとりまく世界をなるべく再現しようとしている伝記ですね。

美貌だけではなく人間的な魅力のある皇后に描かれていたし、ゾフィーも単なるクソババアではなかった、フランツも顔だけマザコン野郎ではなくてシシィとの間にちゃんと愛がありました。
死ねばいい!って言いながら迫ってくる死神ストーカーと、ナイフ振り回す系おしゃべりキチガイはいませんけども、でもまぁ、ミュージカルのほう好きな人は絶対に好きだと思います。

歴史あんまり興味なくてこういう話にでてくる世界情勢みたいなの、大体わかんない人なんですが、結構わかるから楽しかったです。
オタクは興味さえあれば、そこだけいくらでも勝手に知識増やすからね。

史実の本物のシシィは宝塚版のように輝く美少女だったわけではなく、最初はガリガリの小娘だったそうですね。
儚げな顔立ちのこの作品のシシィは、そのへんもよりリアルに近いのかなと思いました。

この時代にこの考え方、エリザベートはやっぱり好き。
人の決めたルールや倫理じゃなくて、自分が考えた末に正しいと信じた結論に従う。それが自由。
今でもそこに、私たちはなかなかたどり着けないのに。

で、結局ONEPIECEの話もしますが、
ルフィさんが「窮屈」と言い放ったもの。偉いものが負う重い責任です。それは「自由」と相容れないものです。
偉い立場になったからには、追えない自由があるんですよね。
ルフィさんは「偉い」立場につかないことで「自由」でいる人だし、シシィは「偉い」立場でありながらも「自由」を諦めない人。
私は自由を追い続ける彼と、彼女を愛してやみません。

イヤ、でも、だから、責任を果たそうとしてるシシィの周りは別に悪くないし、正しいんですよね。そら衝突しますわ
ミュージカル版は、キャストの解釈によってはシシィがワガママ女に見えてしまうし、東宝版なんか完全に「シシィはエゴイスト!」って言われてるので、「それぞれの意見や考え方が違えば衝突するけど、夫婦間にも、嫁姑間にも、ちゃんと愛はあるのだ」を描けたこの作品はなかなかGOOD。

最後の「エーヤン!」だけはハンガリー語で聞き直しました~
せっかく3時間超もエリザベートを楽しんで、「バンザーイ!」で終われないでしょう。

とっつきやすいのはミュージカルなので宝塚版をオススメしたいとこですけど、宝塚のDVDって高いしレンタルとか一切ないんだよね…。
まぁ機会があれば、是非見てみてくださいな。
狭須があこ

狭須があこ