来夢

世界で一番美しい夜の来夢のレビュー・感想・評価

世界で一番美しい夜(2007年製作の映画)
3.9
馬鹿さの中に凄い真面目なテーマを抱えた作品。人間とは、生物が生きる意味とは、戦争とは、平和とは。
人の進化が生物としての人の平和を壊すのであれば、人間は退化するべきなのか。退化すると言うことは人間としての倫理観を否定することでもある。好きでもない人と性行することも、未成年者が性行することも自然である。その代わりに人間の進化故に起きている世界中の不幸を無くせるとしたら。そして少子化問題も解消できるよ。
いやまぁ極論ではあるけれど解らなくはないよね。結局自分や時代の倫理観がそれを許せるか否かってだけで、正義も悪も幸せも不幸も人間がつくりだしたものでしかない。一定の差別が正義だとされていた時代と一定の差別が悪だと言われている現在とで比べたら、多くの人は人が洗礼された結果の現在だと思うかもしれないけれど、たかだか数十年で人は進化しないし、それは言ってしまえばただの「流行」なんだよね。結局人間は戦争をやめられていないし差別もなくなっていない。許せる範囲が流行によって変わっただけだ。
っていうことを考えざるをえない強烈なメッセージ性をもちながらも世界観が性的・・・・・・性的?個性的? すぎて誰にもお勧めできない隠れた名作です。隠れたままでいい迷作かも。
「パフューム ある人殺しの物語」との共通項もあるけれど、こっちの方が観る価値あると思うとは言っておきます。

初回鑑賞劇場:渋谷シネ・アミューズ
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