OASIS

極道恐怖大劇場 牛頭のOASISのレビュー・感想・評価

極道恐怖大劇場 牛頭(2003年製作の映画)
2.5
日頃から奇行の目立つ兄貴をつい殺してしまった弟分が、その日を境に不思議な現象に巻き込まれるという話。
三池崇史監督のヤクザ映画。

この映画の冒頭は「あの犬はヤクザだけを追うように訓練されたヤクザ犬に違いない!」と哀川翔が可愛いチワワを引っ掴んで地面に叩き付ける衝撃的なシーンから始まる。
ガラスに垂れ落ちる犬の血が顔を二分してのタイトル、このオープニングがなかなか良いですが、格好良いのはそこまで。

そして後日、車を走らせていると後ろから別の車が。
そこでもまた「あの車はヤクザを殺す為に作られたヤクザカーだ!」と奇行を見せる兄貴。
そして逃げた先で車が停止したショックで死んでしまう兄貴。
それを機に、立ち寄った喫茶店ではコーヒーの代わりに茶碗蒸しが出てきたり、間寛平と木村進が「暑かったねぇ言うたらワンと言われた」と意味の分からない会話をしていたり、顔の半分を白く塗った火野正平が「与作、歌える?」と聞いてきたり、行く先々で書ききれないくらいにシュール過ぎる会話が連続して展開する。
出先で起こる事を書くだけでレビューが埋まってしまいそうな勢いである。

正直、ストーリーやキャラクターがどうたらこうたらを書いた所でこの映画の内容は全く伝わらない。
面白いのか?と言われれば、ポイント的な笑いの積み重ねでドはまりする可能性も無きにしも非ず。
映画は不安を煽る音楽で終始不穏な空気を醸しつつ進むが、極道ホラーとは名ばかりなキャラクターの会話の支離滅裂さや展開の不条理さがもう完全にギャグの領域に入っているのでそこは割り切って楽しむべきなのだろう。
個人的には旅館の母乳が出る女将と鞭で背中を打たれる弟、そしておたまをアナルに刺す石橋蓮司が良かった。
そしてゲストキャラクターに長門裕之や丹波哲郎、小沢仁志や加藤雅也などこの作風には似合わない濃い面々が登場しているので、そこも楽しめるだろうか。

三池監督からすれば、大量に溢れ出るイメージの奔流の中で何か一つでも観る人の目に止まればいいや、というような感覚かもしれない。
実際脈略やシーンの繋がり等は無く、悪ふざけが炸裂している。
監督は名古屋に何か恨みでもあるのだろうか?と考えずにはいられないくらい町の住人達は狂った奴らばかりだし、町の不穏さは半端ない。
観ている間はずっと何かに似ているなと感じいたが、そこで思い出したのが漫画「不安の種」だった。
空気や間の取り方も、間延び具合もそっくりである。

とにかく映画的な面白さやカタルシス、ストーリーの緻密さ等は皆無な珍作中の珍作。
もし見終わったなら牛頭〜♪牛頭〜♪牛頭〜♪というエンディング曲が頭から離れなくなるでしょう。
OASIS

OASIS