さうすぽー

インセプションのさうすぽーのレビュー・感想・評価

インセプション(2010年製作の映画)
4.6
自己満足点 90点

クリストファー・ノーラン作品第2段!

自分はあまり旧作の映画を劇場で観ることは殆ど無いのですが(AKIRAくらい)、今作はクリストファー・ノーラン監督のファンになる切っ掛けとなっただけでなく、なにより自分が映画を沢山観る切っ掛けとなった偉大な映画であるので、その感謝と敬意を込めて今回IMAXで観ました。

そもそも僕は、この映画を観るまで有名な映画しか観てなくて、SF映画に関してはBTTFとターミネーター、トランスフォーマーくらいでした。
しかし本作の、人の夢という"精神世界"に登場人物が潜入し、他人のアイデアを盗み出すという斬新な内容に一気に心惹かれました。

また、 キャスト陣も今考えると非常に豪華ですね!
ノーラン作品としては珍しく、スターのレオナルド・ディカプリオを起用しており、そこに日本が誇る渡辺謙、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、トム・ハーディ、マリオン・コティヤールが出ていてますね!
特にトム・ハーディはこの映画で初めて注目されたそうですが、何故今まで注目されなかったんだ?と疑問に思うくらいの存在感でした!
それに加えてノーラン映画の常連であるキリアン・マーフィーも役柄にピッタリで、マイケル・ケインも登場時間は少ないながらも見事な存在感でした。


本作における一番好きなところは、
何と言ってもエキセントリックで非常に興味深い演出手法ですね!
夢の世界における、現実世界に近いけど現実では絶対に起こらない事が起きる現象をCGを殆ど使わない形で演出しているために、現実的ではないのにどこかリアルで凄く面白いです。

特に、本作で屈指に有名な場面ですが、コブの相方であるアーサーが第2階層での重力が360度に回転しながらアクションする場面は本当に素晴らしい!
「2001年宇宙の旅」のように実際にセットを回転させて、そこにIMAXカメラを固定させて撮ったそうですが、おかげで他の映画の中でも唯一無二のアクションシーンになっていたと思います。

また、前半で観られる「ペンローズの階段」を利用した演出や、マトリックスを彷彿とさせる身近なものが爆発する現象をスローで映す演出等も夢の世界だからこそ映える演出が色々と際立っていて、それらも本当に面白いです。

人の"精神世界"の中だからこそ、現実的では有り得ない事を実現出来るところが夢の世界におけるロマンでもあるし、同時に危なっかしいところでもあるので、素晴らしいものと、そこに潜む危険もしっかりと描いてるところが本作での成功理由だと思います。

夢の世界は一見良いものに見えるけど、はまりすぎると抜けられなくなるし、夢と現実との境目がつかなくなってしまうと劇中のマリオン・コティヤールのような末路に辿ってしまいます。


また、クリストファー・ノーランの作風と言えば「時間」を操る事が多いですね。
先月レビューしたダークナイトのシリーズではテーマが違うので鳴りを潜めていますが、今作では冒頭から時系列をシャッフルし、終盤で明かされる演出をしていたり、夢と現実世界との時間差を利用しながらストーリー展開が進められてるのも特徴的です。

あと個人的に日本の田園風景や東京の景色が結構好きです。
この素晴らしい作品に日本ロケが行われ、なおかつ渡辺謙が主要人物として出ているのが凄いです。


今観ると、若干夢の場面が後半を占めているからか、少しストーリーにダレが生じる部分もありますが、"夢の世界"という興味深い設定やそこで生まれるヒューマン・ドラマ等が深く描かれている見事な映画でした!

そして、EDクレジットの最後(映画が終わる直前)に流れる音楽が夢から覚まさせる時の曲だったりと最後まで作り込まれてる作品です!

(コメント欄にラストシーンについても触れています。)