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パラダイス 神の&yのレビュー・感想・評価

パラダイス 神(2012年製作の映画)
4.0
【2014/3/18:ユーロスペース】「愛」がパラダイスを希求する話なら、「神」はパラダイスの崩壊の話かな。3作の中でメッセージが最もビビッド。
アンナは敬虔なクリスチャンで、それはちょっと異常ともとれる入れ込みっぷりなんだけど、彼女は彼女なりのパラダイスを住処とすることで心の充足を得ていたんだろう。でも夫登場により彼女のアイデンティティの歪さが露わになってく過程の意地悪っぷり。ハネケ感満載の悪趣味さで、わたしは好きです。
彼女自身の矛盾、また宗教が持つ矛盾。それらが成すパラダイス。偶像なんかじゃない神の実存を崇拝してたつもりが、実はたかが偶像に支配されてただけであること。それに気づかぬ滑稽さ。セックスを忌むアンナと神のある行為は、わたしに信心があったら吐き気してたかも。ユルい地獄絵図でした。
人間ってものは、ほんっとに出来損ないだよなあ。だから愛おしく痛々しいんだと思うけど、これは痛々しいサイドを凝視した作品。
おばさんの変な髪型や薄暗い部屋、ベランダから夫が眺める緑とか、細部も好み。
あと、世のおばさま連中が宝塚に走る理由の一端を見た、気がした。なんとなく。
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