ベべべっち

FLU 運命の36時間のベべべっちのレビュー・感想・評価

FLU 運命の36時間(2013年製作の映画)
4.4
ユ・ヘジンに惚れる

原題『감기』…風邪
謎のウイルスが急速に蔓延し、パニックに陥った都市でのサバイバルムービー。

今観ると、これは映画だから…と完全には割り切れない。その演出はちょっと過剰ではないか?とも言えない。
何年も前の映画だけど、PCR検査やパンデミックという用語も普通に出る。
そして、今じゃリアル過ぎる飛沫感染。
飛沫を吸う描写が生々しい過ぎる。

チャン・ヒョクが演じる救命隊員の男が主人公。
冒頭で救助したスエを好きになるチャン・ヒョク。それがきっかけでスエの娘ちゃんとも知り合いになる。
ある日、娘ちゃんに呼び出されて2人でいる時に街ではウイルスが急速に蔓延し、街自体が封鎖されることになる…というのが前半のあらすじ。

いつの間にか、かなり感情移入してしまっていて政府のおっさん共にめちゃくちゃムカついてしまった。
医者の提言には全く耳を貸さないバカな政府の人間。こういう奴に限って無駄に力を持っている。いつの時代もそうなのか…。
今作では大統領だけがまともな判断力と人間性を持っていたが、何故か大統領に力がない。
側近のジジイと、アメリカ政府の代理人に抑え込まれる大統領。
政府側の選択の一つ一つ全てにイライラ
させられる展開だった。

現場の方では、スエの娘ちゃんを必死に守るチャン・ヒョク。
救命隊員としてのプライドと、惚れた女の娘というのが相まって、頭の中は娘ちゃんを守ることしかない。
そんなカッコいいチャン・ヒョクだけでも映画的には十分なんだけど、もっとカッコよかった男がまさかのユ・ヘジン。

女や一般人を守るチャン・ヒョクに対し、チャン・ヒョクを守りまくるユ・ヘジン。
今作に数少ない笑いをも提供し、チャン・ヒョクが困っている場には必ず駆けつけるユ・ヘジン。
チャン・ヒョクの為に食べ物や情報も仕入れ命さえも救うユ・ヘジン。
そして、さらには単身でマブリーにも立ち向かう。
その男気溢れる姿に否が応でも感動させられる。
まさか、マブリーではなくユ・ヘジンを応援してしまうとは…。
今作のMVPは間違いなくユ・ヘジンでした。

単にウイルス怖ぇ…というだけでなく、政府や現場の人間の狂気を思い知らされる作品。
ごみ焼却場の要領で、まだ生きてる感染者を焼き殺していたのはかなりキツかったかも。


P.S. 今作のマ・ドンソク

登場…本編開始約1時間後
役柄…軍の何かしらの隊長(忘れた)
体格…リトルマブリー
性格…かなり悪い