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大統領の執事の涙のOASISのレビュー・感想・評価

大統領の執事の涙(2013年製作の映画)
4.0
実在の人物ユージン・アレンの実生活に基づいた、歴代大統領に仕えたアフリカ系アメリカ人執事セシル・ゲインズの34年間に渡るドラマ。
監督は「プレシャス」のリー・ダニエルズ。

試写会にて。
執事と父、両方の顔を使い分けるフォレスト・ウィテカーの名演に感動した。
こういった映画が大ヒットする所に自国の政治に対する興味がいかに大きいかを思い知らされる。

アイゼンハワー、ケネディ、ニクソン、レーガンを経て現在のオバマ政権に至るまで、激動する歴史の中心部ホワイトハウスにおいて「見ざる聞かざる言わざる」の精神で給仕し続けるセシル。
歴史上の大きな決断の場面に立ち会いながら自らの意見を挟む余地は無く、自分の存在を空気に変え黒人意識をグッと心の中に抑えて白人の為に奉仕する。

そんな父に反発するように長男は政治活動に傾倒し、妻は夫との距離を埋める様に酒に溺れ、次男はお国の為にベトナム戦争へと赴く。
ホワイトハウスにおいても、そして家庭内でも、自分の身の置き方について改めて考え直す事が息子との和解へと繋がっていくという展開と、白人と黒人の間の雪解けをじっくりと丁寧に重ねていく事でラストのオバマ大統領との対面シーンがより際立つ作りに感動。
実際オバマが流した涙の意味も、今一度自分の責任の重大さを痛感し、セシルを含む全ての人達の想いを全身で受け止めたからなんだろう。
実際対面シーンは無いのだけど、二人の初対面時の会話やその後を想像して涙ぐんでしまった。
気持ちの良い余韻を残す素晴らしいラストシーンでした。

父と息子が和解する姿を通して、米の歴史と自国民が向き合うきっかけを与えた良作だと思います。
所どころ説明的かな、という部分もありますが。

歴代大統領は錚々たる面々が揃ってますが、特にお気に入りはレーガン役のアラン・リックマンとニクソン役のジョン・キューザック。憎らしい役が非常に合ってました。
レニー・クラヴィッツは辛うじてわかったものの、マライア・キャリーは気付かず。
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