nt708

ボーイのnt708のネタバレレビュー・内容・結末

ボーイ(2010年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

親にとっての親の理想像と子どもにとっての子どもの理想像というのは往々にして異なるものである。ボーイは長らく父親と離れていた故に、自ら理想の父親像を作り上げ、過去も理想のものに書き換えていた。一方の父親は刑務所で過ごしていた時間を少しでも埋めようと「理想の父親とはこういうものだろう」と奮闘する。しかし、ふたりは時間をともにすればするほど、お互いの理想が異なること、理想と現実は異なることを目の当たりにしていく。

事実、息子にとって父親は大切なときに自分のそばにいてくれなかった存在であり、尊敬するにできない存在でもある。父親のようになりたくもあり、なりたくもない。そんな気持ちが入り乱れたときの主人公の姿を観たとき何とも言えない気持ちになった。父親もそんな息子の様子を見て、彼にとって一番の幸せは不届き者の自分が息子のもとを去ることだと独り合点し、都市へと戻っていく。父親のこの行動がお互いにとって本当に幸せだったのかどうか、、この問いに対する解釈の違いがそのまま本作に対する解釈の違いに表れているような気がする。

これから本作を観る方がこの問いに対してどのように感じたのか、ぜひ知りたいものである。
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