shibamike

ビッグ・ヒート/復讐は俺に任せろのshibamikeのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

W杯?球蹴りして、痛い!痛い!って大騒ぎするだけでしょ。
夏の甲子園?坊主が丈夫で上手に地面持って帰るだけでしょ。
花火大会?盆踊り?雨降って中止中止!

そういった世間のケッタイな催し・お祭りを吹き飛ばし、老若男女お楽しみのお祭り、フリッツ・ラング祭り開幕!
映画館なら屋内なので直射日光、紫外線対策もチリバツ。雨天中止なんてこともない。館内は空調も効いているので、ソルティライチだけ各自持ち込んで、適宜補給すれば熱中症対策もチリバツ。鑑賞人口がおっさん(おっさんの中でもヤヴァめのおっさん)率高めなので汗臭さとモワァッ感だけ我慢が必要。8×4プシュー

メチャクチャ久し振りにシネマヴェーラ渋谷へ。
劇場へ来てみると張り紙があり、読む。
「7/21より各回入れ替え制となりました。」
なんやて!2回1本立て中止とな😲
不景気の煽りがシネマヴェーラ渋谷にまで。「時代は変わっていくぜベイベー」とシネマヴェーラから道玄坂のラブホ街を見つめながら、ソルティライチを一口ゴクリと飲む。8×4プシュー!ゴホッゴホッ


「復讐は俺に任せろ」。この邦題はダサい気が…。何か「俺に任せろ」と張り切っている奴に大事な復讐は任せたくない。「そういった依頼ならお引き取りください」みたいに復讐には慎重な中村主水のような渋い人に復讐は依頼したい(中村主水ってそういう感じなの?適当)。
ツービート時代のたけしが「復讐ならおいらに任せてよ!おいら、復讐得意だから!赤信号みんなで渡れば怖くない!」と言っているのを隣できよしが「およしなさい!」といさめているイメージで危なっかしい(何もかも適当)。
肝心の中身を考えても、確かに主人公の復讐が話のメインであるが、主人公は好んで積極的に復讐している訳ではなく、やむにやまれず復讐しているのであり、とても「復讐は俺に任せろ」という感じではなかった。ま、どうでもいいけど。ゴホゴホッ

悪い権力者(ラガナ)とその周りの薄汚い奴らが自分達の利益を確保するために、暴力でギャーギャー騒ぐ。その巻き添えを喰ったのが主人公である殺人課の刑事バニオン。バニオンの捜査を邪魔に思ったラガナがバニオンに刺客を送り込むも、手違いでバニオンではなくバニオンの妻が殺されてしまう。妻を殺された怒りでバニオンは復讐の鬼となる。

ラガナの息は警察署長にまでかかっており、警察も腐敗している。味方の警察も信用できないバニオンは誰も信用できず怒りだけ膨張し、孤立していく。同僚の刑事がバニオンに忠告する。「お前は教会へ行け。憎悪に支配されて孤立してしまっている。世界中の人間を敵に回すなんて無茶だ。」案外真っ当な忠告だと思ったが、バニオンは眉間に皺を寄せて「出ていけ!」と同僚に怒鳴りつける。

このバニオン、自分的には小憎たらしい主人公であった。ニヒルな二枚目で、喧嘩も強く、捜査にも抜かりがなく、奥さんも美人、と完全無欠である。孤立して痛い目に遇うのかと思ったが、そういうことも別段無かった。奥さんが殺された、という最悪の出来事で充分過ぎるか。

自分一人でラガナへの復讐を果たす気満々のバニオンであったが、情報不足で袋小路に。そんな彼を救ったのは、自動車修理工場の老婆とマフィアの女デビーであった。彼女らの無償の奉仕が無ければ、バニオンは復讐を果たせなかったであろう。それに娘の保護には親族の男共が志願して集まり、同僚の刑事だって駆けつけてくれた。バニオンには仲間がおり、孤立などする必要無かった。
デビーの今際の際に、亡き妻との思い出をしみじみ話すバニオン。復讐を果たし、刑事として復帰したバニオンであるが、我々観客には彼の心に大きな傷痕があることを思わせる。
映画の中のスターに限らず、地味で味気ない人生を過ごす人間にもグッと飲み干した苦い過去があるかも知れない。みんな心に傷持つ戦士。翼の折れたエンジェルやね。

視覚的にワァ!と見応えあったのはマフィアのヴィンスがデビーの顔に熱々のコーヒーをぶっかけるシーン。美人だけが取り柄だったデビーの絶望がとても伝わってきた。終盤、デビーが反対にヴィンスの顔にコーヒーをかける復讐も良かった。

で、マフィアのヴィンスであるが、顔がメチャクチャ良い!悪役顔である。リー・マーヴィンという人らしく、シュッとしたゴリラが人間になったような見応えのある顔。じっと見てしまう。

フリッツ・ラングの映画がどういうカラーのものなのかさっぱり印象が無いが、こういうサスペンス的なのもあるんだと、印象が無い割りに意外の感。

8×4プシュー!ゴホゴホッ!
shibamike

shibamike