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17歳の708のネタバレレビュー・内容・結末

17歳(2013年製作の映画)
4.7

このレビューはネタバレを含みます

フランソワ・オゾン監督が描く17歳の女の子は、かなり刺激的で強烈で生々しくてスパイスが効いてました。それと背中合わせのごとく、まるでイザベルの繊細な心情をそのまま歌ったかのような、所々で流れるフランソワーズ・アルディが本当によかったです。歌詞がじんわりと沁みます。

好きだったはずの男の子への気持ちが突然冷めてしまう気まぐれって、どこか不安定な17歳の女の子っぽいなと思うんです。別に嫌いじゃないけど、自分でもなぜかわからないけど、ふと気持ちが冷めてしまうという感覚。そして、次に何をしでかすかわからない危うさやスリリングな感じ、後先を考えずに周りの大人たちをハラハラさせちゃう大胆さや衝動は、若さゆえのものだよなぁと。

イザベルが売春を始めたきっかけも、特に深い理由がなかったと思うんです。どうしても買いたいものや欲しいものがあるわけでもなく、誰かに必要とされることを実感したい承認欲求でもなく、あるいはセックスをしまくりたいわけでもない。なんとなく始めた売春によって、自分は出会いからセックスに至るプロセスが楽しいだけで、恋愛やセックス自体には興味がないんだということに気づいて、次々といろんな男と出会います。そんな中で、売春の客として出会ったかなり歳上のジョルジュに惹かれるわけですが、同年代の男の子と女の子って、やはり男の子の方が女の子よりも子供っぽいからこそ、歳上のジョルジュが魅力的に思えるのはわかります。情事の最中に歳上の男が亡くなるときって、女性が下になった腹上死みたいなイメージがあったけど、ここでは騎乗位での死。こういう感じがフランスっぽいよなと思いました。

主演のマリーヌ・ヴァクトは17歳の設定だけど、これは彼女が20歳ちょっと過ぎたあたりの作品。それにしても、かなり大胆な演技。フランスの女優さんって本当に肉体労働だな。このお方、オゾン監督の「2重螺旋の恋人」のヒロインだったんですね。まったく気づきませんでした。イザベルの母親役は、「すべてうまくいきますように」でソフィー・マルソーの妹役をやっているジェラルディーヌ・ペラス。そして、シャーロット・ランプリングが出るのは知ってましたが、ここぞというナイスなぶっ込み方での登場はさすが。夢なのか現実なのかをぼやかしたような表現もいい感じでした。

最近は時代的に、女優を「俳優」と呼ぶような流れになってきていますが、やはりフランス映画を観ていると、「女優」という呼び方のがしっくり来るんです。この作品もまさにそんな感じ。
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