HicK

シンデレラのHicKのレビュー・感想・評価

シンデレラ(2015年製作の映画)
4.1
《手堅い。間違いない》

【良いリメイク】
主人公エラの不遇な状況がさらに過酷に伝わってくる実写リメイク。彼女のバッググラウンドを掘り下げ、よりキャラクターとしての解像度が高くなった。リリー・ジェームズの演技も良い。森で王子と出会うシーンが追加され、双方の思いが描かれてる点も好印象。個人的にオリジナル版よりも感情移入度は高い。

【継母】
ケイト・ブランシェット姉さん…。怖すぎて、魔法が使えそうなぐらいのヴィランだった。靴を割る場面はサスペンスばりの狂気。これもエラを応援したくなる要因のひとつ。

【フェアリーゴッドマザー】
ゴージャスなフェアリー。アニメ版では優しいおばさんだったが、今作の印象はゴージャスセレブ。演じたのは悪役ハマりが多いヘレナ・ボナム=カーターだが、意外にも奇妙な感じがマッチしていて、これはこれで良かった。

【動物たち】
オリジナル版よりも動物たちの"マジカルさ"は控えめ。この選択も作風と合っていて好きだった。人間味を持たせたネズミたちよりも、それが不鮮明なアヒルの方が面白い。こいつはただのアヒルだなと思っていたら、馬とぶつかりそうになって「おっと!」みたいな野生のリアクションに笑った。

【欲を言えば】
ミュージカルにまではしなくていいから、オリジナル版の楽曲をバックに流して欲しかった。フェアリーのシーンやボールルームで曲が流れればより感動したと思う。どの映画会社でも実写化できる童話だけに、ディズニーしか作り出せないオリジナルのアクセントがもう少し欲しかった。城なんて既にディズニーが現実に作り出している訳だから、それから発想を得たものを出しても面白かったと思う。

【総括】
良いリメイク。「耐えるシンデレラ」に重きを置いたことで、更に応援したくなる主人公になってると思う。自分はアニメや漫画その他なんでも映像化リメイクする際の「完コピ」が好きじゃないので、その点、掘り下げと目的がハッキリとしている今作は手堅さを感じて好きだった。
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