ハター

コーヒーをめぐる冒険のハターのレビュー・感想・評価

コーヒーをめぐる冒険(2012年製作の映画)
3.6
ドイツ、コーヒー、コメディ。この単語の組み合わせに引きつけられました。
50'sを匂わせるクールジャズに乗せてモノクロームで映し出す今のベルリンの街並みはなかなかどうして、お洒落にキマっていました。現代のありふれた風景を白黒の画で目に通すと、物珍しさを感じると同時に妙なほど美しく見え、それに違和感を感じない事が不思議でもありました。繰り返し現れる色味のないストリートアートはまるで主人公ニコの頭の中を表しているかのよう。煙草の火を付けるシーンは毎度気になって仕方なかった。
また、過去の名作のオマージュには思わずくすりと笑みがこぼれます。笑いの手法は古典的ではあるが、この空気感で見るそれは妙に楽しい。
85分の中で1人の青年の苦悩を描いているが、ストリートアート、前衛芸術、ナチスのエピソードなど、ある意味”お国柄”が露骨に出されているのは何か意味があると考えてしまいます。
コメディながらアート色もあり、人間模様をリアルに描き、負の歴史を辿り...。おそらく人それぞれ異なる見方が出来る作品かと思います。
日頃コーヒーを楽しむくらいの余裕は持っていたいなあ、と考えていた時に訪れたラストシーンには思わず、フフッとなりました。
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