ふき

アウトローのふきのレビュー・感想・評価

アウトロー(2012年製作の映画)
2.0
本作を鑑賞前に二つ、注意すべき点がある。
・この作品はニコラス・ウィンディング・レフン監督が「監督」した作品ではない。
・パッケージのような極彩色の派手な作品ではなく、カーチェイスや爆発もない。

この作品にあるのは、「アイスランドの麻薬流通を舞台にした、ハリウッド的な犯罪サスペンス物語」と、「彩度を抑えた薄暗い撮影と、抑揚のない演出の極めて地味な、ヨーロッパのアート映画的とも言える絵作り」だ。
それらが合体した映画を見て得られるものはというと、「盛り上がる展開が来そうな雰囲気を散々煽った割には、気付いた時には盛り上がるポイントが終わっている」という、カタルシスが手から零れていく映画体験だ。

アイスランドという国が好きで、その国の映画シーンに触れてみたく見たのだが、残念ながら凡作だった。ここからどう独自の発展を見せるのかは気になるが、少なくとも現状では、他人にオススメできるレベルでない。
とはいえ、お話としても映像としても面白いところがないわけではないので、人によっては思わぬ拾いものになる可能性を秘めているだろう。

また、現在の「トイレチップもカードで」というほどクレジットカード万歳なアイスランド状況からすると、紙幣をバンバン使う展開は割りと物珍しかったので、ある程度リテラシーがある状態で見ると違う楽しみがあるかもしれない。
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