きなこみるく

チョコレートドーナツのきなこみるくのレビュー・感想・評価

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
4.8
過去鑑賞

この映画と初めて出会ったのは、大学の講義で視聴したとき。そのあとも何回か見ました。
今では一番好きな映画です。

まず登場人物が魅力的です。
愛を知らない少年から愛を教わるルディ。
本当の家族を見つけたマルコ。
自分を偽ることをやめたポール。
3人が出会い、本当の家族のように愛し合うようになる過程はとても感動的です。
ハロウィンのホームビデオなんて、本当に楽しそうで涙が出ました。
本当の愛に、ゲイも障害も関係ないのです。

しかし舞台は1970年代アメリカ。
法律は、世間は、それを真っ当な家族な形とは認めません。
子を育てるのに大事なのは、たとえ愛していなくても、血の繋がった母親なのです。

ラストシーン。
ルディの歌う「I shall be released」がとても感動的です。
真っ直ぐな瞳で、力強く歌う姿に心打たれました。今では毎日のように聴いています。
胸を締め付けられるようなラストですが、この歌はささやかな希望を残してくれます。
「暗闇を照らす光はいつか必ずやってくる。壁を越えた向こうに、自分がいるのが見えるよ」

あれから約40年後の世界に私は住んでいます。
ルディたちに言いたい、「あなたたちが望んだような未来に、世界は少しずつだけど近づいています。だからどうか希望を捨てないで」と。
実際のところ、LGBTではない私はそれが本当かどうか断言できません。でも私のようなマジョリティが、このような映画を通して、新たな視点を得ることはとても
大事なことだと思います。