きなこみるく

SKIN 短編のきなこみるくのネタバレレビュー・内容・結末

SKIN 短編(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

最終日でアクセスが集中したのか、20分ほどの本編を2時間かけて鑑賞した。
集中力は途切れがちだったことは否めないが、それでもラストの衝撃はすごかった。

この短編で1番の悪者は間違いなくトロイの父親だろう。
愛情を持ってトロイを育てながらも、一方ではトロイの目の前で黒人に暴行を加える。
こうした行動は間違いなく幼い子供の人格形成に影響するだろう。それもとてもナチュラルに。

でもじゃあ、トロイの父親はなぜ白人至上主義者になったのだろうか。
やはり白人至上主義の両親に育てられたのだろうか。
だとしたらその親の親は?…

辿っていくとキリがない。

この連鎖を止めるのはおそらく「教育」
だ。

トロイがこのまま黒人に父親を殺された、と思い続ければ、父親と同じようにレイシストなってしまうだろう。
そしてまたそれが今度はトロイの息子に受け継がれてしまうかもしれない。

しかし、トロイが今後、しっかりとした教育を受け、広い視野を持って、父親の死と向かい合うことができれば、ここで負の連鎖は止められるかもしれない。

これは、トロイと目を合わせた黒人の子供にも言えることだ。

彼はトロイが父親を殺めてしまったことを知ったらどう思うだろうか。
当然の報いだと考えるだろうか。
白人はすべて悪だと思うだろうか。

作中、蛇についてトロイと父親が会話するシーンがある。
なんと蛇の話は、トロイ役の子のアドリブだったらしい。
すごく的を射たもので驚いた。

「毒ヘビは色がカラフルなものが多いんだって」
「じゃあ色つきのヘビは全部毒ありなんだな?」
「ううん、普通のヘビでも毒ありのもいるし、色つきでも毒のないヘビもいるんだよ」
「でもつまり色つきは毒ありってことだろ」
(意訳)

毒と色に因果関係はないと話す息子と、
色ありは毒だと決めつける父親。

ここにこの映画の全てが詰め込まれていると感じた。