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チョコレートドーナツのumetaのネタバレレビュー・内容・結末

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

公開時に映画館で鑑賞後、近日配信されたので何度目かの鑑賞。
好きな映画の5本指に入る作品。映画館でこんなに泣いてしまったのは初めてというくらい泣いてしまった。

ハッピーエンドとは決して言えない本作に何故ここまで心揺さぶられるか、何度か観て落ち着いた後で考えてみた。
最初はラストの理不尽な悲しさで泣けるのかと思っていたが、ゆっくり考えてみると
その前の親子の幸せな笑顔の方に感情を持っていかれている気がする。

人が生きていく上では、決していい事ばかりではない。楽しいこともたくさんあるが、クソッタレと言いたくなる事は山ほどあって、自身の努力ではどうしようもないことに打ちのめされる事がある。おそらくどんな人間でも。
そんな世界の中で、どうやって自分の光を見つけるか。出会うか。それらをどれだけ大切にできるか。
たとえバッドエンドだったとしても、その光を見つけて、ほんの一時でも、その光を全力で大切に守った。その姿に心臓を掴まれた。

おそらく私は、人が生きていく上で、それが最も大切なことのように感じている。
すべてがハッピーエンドではないこの世界で、一握りの光をどれだけ大切にするか。
多くのうまく行かないことに心を閉ざさずに、そばにある光に気づいて大切にできるか。

ラストは哀しいものだったが、マルコが二人に出会ったことは、彼の今までの人生の中でどんなに光り輝いているだろう。
またあの二人にとっても。
あわよくば、最後の手紙を読んだ面々の心にもそれが伝わって、これからの人生の選択にほんの少しでも変化が生まれますように、祈らずにいられない。
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