umeta

笑いのカイブツのumetaのネタバレレビュー・内容・結末

笑いのカイブツ(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

年末に映画館で広告を見て、これは見たい!と楽しみにしていた映画。
出演俳優さん×テーマで間違い無いでしょうこれは…とは思っていたけど、期待を上回る熱量だった。久しぶりにこんなに張り詰めた映画を見たかもしれない

すっかり岡山天音くんのファンになってしまった。元々憑依系の俳優さんに惹かれるけど、ほんとうに体のあちこちに異常をきたしてしまっているのでは…?と心配になるほどの張りつめた演技にひきこまれた。

凡人なので、これをせずに生きられないみたいなものがある人には、やはり憧れる。
その人の周りだけ酸素の濃度も空気の圧力も違っているように、燃え上がるときの勢いにも温度にも周囲がついていけず、理解されないまま、加減もできずに、命を削ってごうごうと燃えている。
流れ星のように強烈な光を放っていて、周囲の人をひきつける。

主人公はまさにそういうキャラクターで、魅力的でもあり、危うくもあり、でもやはりギラギラと輝いて惹きつけられた。

社会を回すためにはコミュニケーションが必要で、それぞれ思惑がある人間が集まって一つのことをするために、仕方なくこなしている人が多いと思う。
主人公のように、研ぎ澄まして物をつくる人にとって、それは不要で余計なことだと感じるのも、わかる。そのとおりだし、ただ正しくありたいのにという叫びも、もっともなことのように思った。
人間がみんな彼と同じくらい純粋だったら、彼の正しさは守られたのにな。

そうもいかない世の中で、そうはいかないよね〜と諦めて、笑ってごまかして、のらりくらりと生きている。
彼のような人間の熱量を、もらうだけもらって生きている。
今後もギラギラと輝き走り落ちていく流星に憧れながら、影響を受けながら、自分ができないことを託してしまうのだろう。

最後に、彼の辛くしかし鮮烈な人生に続きがあったことに、とても救われた。
凡人には憧れることしかできないけれど、せめて輝く流れ星が心ゆくまで輝けますようと祈るばかり。
umeta

umeta