ShinMakita

プリズナーズのShinMakitaのレビュー・感想・評価

プリズナーズ(2013年製作の映画)
3.0
☆mixi過去劇場鑑賞レビュー転載計画(フォロワーさんに便乗編)
…ツネイシさんに便乗。2014年5月6日 新宿ピカデリーで鑑賞。



修理業を営む男ケラー・ドーバーは、感謝祭の日、近所の友人フランクリン・バーチの家に一家で食事に招かれた。しかし夕方、六歳の娘アナが、フランクリンの次女ジョイとともに姿を消したことに気づく。息子ラルフの話では、アナたちはドーバー家とバーチ家の間に停まっていたRV車に興味津々だったらしい。すぐにこのRVを探すケラーだが、すでに車はなくなっていた。ケラーとフランクリンは誘拐を疑い警察に通報し、署のエース、ロキ刑事が捜査にあたることになる。深夜になり、森近くに停車していたRV車が発見され、運転していたアレックスという青年が逮捕される。しかしアレックスは誘拐を否認。彼は障害があり、10歳なみの知能しかない男だった。結局ロキはアレックスを証拠不十分で釈放せざるをえなくなるが、ケラーは納得がいかない。そこで、深夜の散歩に出たアレックスを待ち伏せして誘拐、空き家に監禁して拷問し、アナたちの居場所を白状させようとするのだった。


アレックスが行方をくらまし、周囲が逃亡したのではと疑っているなか、ロキは真犯人は別にいると考え始めていた。そしてバーチ家をうろついていた怪しい男テイラーの存在を掴む………



「プリズナーズ」


*以下、未見の方は飛ばしてください

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ヒューマンサスペンスと思わせて、実は違うという凝った作品。ヒュー・ジャックマンの熱演もジェイク・ギレンホールのタフぶりも見所です。
また、変化球的なキリスト教映画でもあります。キリスト教の是非ではなく、〈キリスト側と反キリスト側の共生〉というか、人間の中の善悪の混在というか。そういうのを描きたかったのではないかなと。

主人公ケラーが根っからのキリスト側なのは明らかですよね。冒頭の主の祈り、ノアの箱船妄想、強い父性とリーダーシップから、それははっきり表れてます。そしてアレックスを閉じこめる浴槽……あれは告解室の暗示ですよね。しかし、彼の行動は全くの反キリスト的なものだったわけです。

刑事のロキ……フォーチュンクッキーを信じて少年院あがりというキャラから反キリストっぽいですよね。名も偶然じゃありません。マイティソーの悪役にして北欧神話でサタンの名であるロキを名乗っている以上、彼は悪役なのです。しかし……アナを救出したのは彼なんですよね。


さらにアレックスの叔母のホリー。ホリー……ホーリー・バイブルのホリー……と考えるのはこじつけでしょうか?彼女の行いはご存じの通りです。

神父が小児性愛者だったり、蛇(イブをそそのかすアンチ神の象徴)を飼う男が実は殺人を犯していなかったり、偶然か意図的か、たくさんの二面性が描かれています。


そして……犯人はなぜアナたちを地下から出して生かしておいたのか。これも引き金は、ケラーの〈悪行〉だったんですよね。


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単なるクライムドラマではない、奥深い映画であることが解ります。気づかなかった暗示や伏線がもっとある気がしますので、あと2、3回は観なくては^_^
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