FutosiSaito

プリズナーズのFutosiSaitoのレビュー・感想・評価

プリズナーズ(2013年製作の映画)
3.9
 子供が誘拐されたことによる、一線を超えた過剰な暴力に走るヒュー=ジャックマンには初めこそ感情移入できるが、しだいにそれができなくなっていく。
 ヴィルヌーヴ監督の作品には、辛いものが多く、ゆえに重厚だ。
 そして、ジェイク=ギレンホール演じる刑事が覗く、この社会の深淵が辛い。
 この事件を追ううちに、他の暗い現実(犯罪)を見つけてしまう。これはハードボイルドの探偵と同じ構造だ。
 アメリカは保安官の国で、全国的な警察組織が整備されたものではない。いわゆる「ならずもの」だからこそ、捜査や逮捕の権限を与える。ギレンホールは、その元「ならずもの」感もうまく演じている。
 これならヴィルヌーヴ監督も、次作(『複製された男』)に起用したくなるだろう。
 犯罪もので、社会派ながら、加害と被害の関係性を突き詰めてもいる。
 加害と被害の切なさも描いた作品だ。
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