最初の埋葬シーンの意味がわかった時にこの映画は自分にとっての決定的瞬間になった。
「今も怒ってる」
監督は報道カメラマンの経歴をお持ちだそうでその影響からか現実に寄り過ぎとも思える過激なリアリズムの迫力とストーリーの合間に入る心象風景や情景の優しい美しさが映画内で仲良く同居してる。
第3世界への無関心を無くしたいという使命感と平和な家庭を築きたいという細やかな希望が両立できず苦しむ主人公を演じるジュリエットの姿が胸に迫ってくる。
その2つの関係性がフォーカスされた被写体とボヤけた周囲の二者択一の関係に思えて久しぶりに泣けた。
テントで娘に狂気とも言えそうな信念のルーツを語るシーンも好き。
しかも被写体の女性と主人公は世界をより良くしようとしているのにそれぞれのアプローチが絶望的に違うところはこの問題が直ぐには解決しない事を示してる様に思えてその違いにドン底に落とされながらも感動した。
メニュー画面も幸せな日々の写真のスライドに見えてしまう。
救いの無さすぎるありのままの現実を撮りながらも現実を変えようとする母親かつ報道カメラマンの死と矛盾と再生の映画。