JunIwaoka

おやすみなさいを言いたくてのJunIwaokaのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

2014.12.21 @ 渋谷シネパレス
(原題:A Thousand Times Good Night)

映画"ナイロビの蜂"でも言われているように、第三世界にあるものは痛ましい死。生きることよりも死ぬことの方が当たり前とされている国の事実を撮すことを使命に生きる戦場カメラマンのレベッカ。彼女の自らの命も顧みない行動がもたらすオープニングからなかなかセンセーショナルで、タイトルから連想させるような優しさよりもずっとずっと重く深い。ボロボロになりながらも帰路についたレベッカを無邪気な次女リサが歓迎するのに対し、年頃の長女ステフは複雑な気持ちを隠しきれない。子どもにとっての一つの幸せが親の愛情のもとで暮らすことだとすれば、ステフの心情はとても歯がゆく苦しい。レベッカにとっても突然に母親として彼らの生活に馴染むことができず、また動く世界情勢にかられる使命感を抑える。それでもステフが血をひくことは変わることがなく、唯一親子として通じた経験が皮肉にも、レベッカの母親としての存在を拒絶させると同時に、戦場カメラマンとして誇らしさを感じる戸惑いに胸が苦しくなる。それはただ単純に生きる意味や幸せについて問いかけであり、それすら許されないレベッカが見る現実はあまりに衝撃的で言葉を失った。
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