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やさしい本泥棒のmfgのネタバレレビュー・内容・結末

やさしい本泥棒(2013年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

2022/02/03
・“人はいつか死ぬ それは動かぬ事実だ どうあがいても永遠には生きられない”“結末を言って悪いね 助言しよう その時が来たらジタバタするな しても無駄だ”“自己紹介がまだだがどうせまたすぐ会う この世でではない 生きてる者とは距離を置く主義だ”(“だが時には例外もある”…遠い昔に少女にたまらなく興味を惹かれ近づいてしまった)

ドイツ 1938年2月
・新しい母さん:給付金のために子供を引き取る/弟の死に対して給付金が減ることに不満を言い、母親がろくに食べさせていないと批判/“共産主義者は汚いって本当だね”、近所の子供に対して“ロクデナシ”/お菓子のあげ方すら意地悪(対して新しい父さんの手品を使ってのあげ方素敵)/母さん呼称強制(引き取りの次の日から)/自分の夫に対して“ロクデナシのブタ親父”/口癖“ロクデナシ”/“新しい母さんは嵐みたい いつも荒れてる”
・車(“車の外の世界はまるでスノー・ドーム”)を出たくなくなるような“おいで”(新しい母さん)/紳士的な“お姫様”(新しい父さん)
・ヘブン通り(“ヘブン通りではアコーディオン弾きと妻が娘となる子を待っていた”)
・アコーディオンからの“おはよう お姫様”…新しい父さんいちいち演出が素敵→“うるさいよ やめて”…新しい母さんの風情を介さない感
・隣の少年:“君無口だね ツバ1回が“イエス” 2回が“ノー”?”“会話ができた”…ユーモアかつ優しい…/“君を学校まで送ろうと思ったのは友達が欲しいだろうから”
・鬼教師チックな女教師
・黒板に自分の名前が書けず“XXX”(“字は読めないけどバカじゃない)→みんなで囲んで“バカ”と連呼…いじめ方酷い→nice fight!(あだ名が“おてんば”に)→女教師からのお尻ぺんぺんのお仕置き
・“フランツはトミーの弁当箱にオシッコした”→“フランツって頭悪そう”→“学校一のバカだけどヒゲは生えてる”…アホな子ほど肉体の成長は早かったりするよね(余計なこと考えないからストレスなくて成長早いのかな?)
・逃げるつもり(実の母を探しに)の少女に対して“出て行く時は教えて”“一緒に行く”/突然のスターティングポーズからの競争の申し込み(勝ったらキスの条件付き)→ズルっこして同時に滑ってゴールイン…幼い2人が可愛い…
・大切な弟の形見の本(中身は知らない→“俺もうまくは読めないが2人で力を合わせよう”…新しい父さんほんとにいい人…/““墓掘り人の手引書””)
・子供たちの美しい歌声に似つかわしくない内容のナチスを鼓舞するような合唱

水晶の夜 シュツットガルト 1938年11月
・“1人かゼロ”しか逃がせない→母親を残して脱出…罪悪感(母を残したこと/“自分は生きられる”と安堵したこと)
・看板書きの仕事(本職)より看板を消す仕事の方が増えてるご時世
・“会計士って?”→“俺たちには縁がない”…クスッと笑っちゃう
・本を読み終えた後 父さんとの約束:“父さんが死んだらしっかり埋葬してくれ 第6章の手順を省略するなよ”
・父さんの秘密:地下の辞書
・泥かなんかを塗って黒人を模してイメトレ?(党員の父:“体を黒く塗ってそこらを歩いちゃいかん”“黒人にあこがれるな”“ダメだと言ったらダメだ”)

1939年4月
“母さんへ 今日は総統の誕生日です 私の誕生日だったら母さんに会えるのに 母さんに会いたい 街で母さんを見たと思っても決まって人違いです”“追伸 今は字が読めます”…内容が純粋で切なくて心痛い…届けてもらえると思ってるところも切ない…(こんな純粋な瞳に見つめられたら父さんも嘘ついちゃうよね…→“切手代の無駄よ どうせ返事なんかこない”…新しい母さんの心ない言葉を聞いてしまうの辛い)
・ハーケンクロイツの旗を出さないと反逆者と疑われる
・“知的な有害物質を一掃する”/“この20年間ドイツを蝕んでいた病巣を排除する”“我々を縛っていた鎖を完全に破壊するのだ”と称して本を燃やす
・狂った演説を狂っていると判断できない民衆…間違った“常識”が蔓延している世界の恐ろしさ…
・盗んで懐に隠してた本(「透明人間」 H.G.ウェルズ著)ちょっと燃えててむせる→父さん:誰にもみられていないことを確認した後“これは2人の秘密だ この本も一緒に読もう 地下室でな”
・父さんの恩人:父さんにアコーディオンを預ける/戦争中に目の前で亡くなる(父さんのために命を投げ出す)→父さんの誓い:“彼の家族に何かあれば必ず助ける”→来客(恩人の息子(“青年は地下で暮らしてた まるで翼のないフクロウ 太陽も彼の顔を忘れた”)/ユダヤ人/ヒトラーの本を持ってる)のことは絶対誰にも言ってはならない(“人の価値は約束を守れるかどうかだ”)
・“やっと私の料理が喜ばれた”→むせて戻す(“スープまずいでしょ”→“いろいろ吐いた中で一番マシだった”…酷い評価笑う)
・“平気よ 私もここに来た時たくさん泣いた”…少女の精一杯の励ましが優しくて切ない…
・町長(総統とも食事した/)の家へ洗濯物を届けるお使い(“お代をもらわないと家に入れないよ” かつ 来客については誰にも言っちゃダメ)
・町長夫人:少女が本を盗んだことを知ってる/少女の本好きを知り書庫へ招待/“読みたかったらいつでもいらっしゃい”と握手し“勇敢な子ね”/息子は戦死(遺体は出て来なかった→町長夫人は死を信じられず諦めきれない/本を読むのが好きで書庫にある本を全て読破/勇敢だった)

イギリスと戦争
・“いつの時代も人々は興奮と共に戦争になだれ込む”“若者たちは敵に向かって走っているつもりだろうが実は私に向かって走っているのだ”
・醜い男の嫉妬心剥き出しのいじめっ子…徒競走に負けて相手の足を引っ掛ける→“オーウェンズ(黒人走者)みたいに黒くなれただろ”…最低
・空想の総統母から総統への手紙(お仕置き/いい子にしなさい/髪型 服 髭 大声 ツバ吐きに対するお叱り)…束の間の冗談の言い合いが微笑ましくも辛い…
・“記憶は魂の筆記だ”byアリストテレス
・外はどんな天気かを自分の言葉で表現する(自分の目が語れたとしたらどう言うか)→くもり=“青白い日”“すべてが雲に隠れて太陽は太陽じゃないみたい”“(太陽は)銀色の牡蠣みたいだった”…表現力豊か 読書の賜物かな?
・町長夫人と少女の秘密の読書会が町長に見つかり洗濯の依頼がダメになる→1日3食から2食へ(文句はなし)
・近所の男の子の父出征:“背広を作った お前の14歳の誕生日に着なさい”→“父さん その時までに戻ってくるよね?”…フラグ

1941年12月
・“ヒトラー モスクワ侵攻へ”→“世界はイカれてる”…勝てると信じてる民衆がいるところも狂ってる
・天気の報告は雪玉→名案:地下に雪を運んで雪合戦(父さんも参戦→怒りんぼ母さんも参戦→雪だるま作ってアコーディオンでサイレントナイト演奏…素敵…あの怒りんぼ母さんまでも“こんなバカなマネ生まれて初めてよ”と言いつつ実は楽しんでた/“最高のクリスマスよ”/“クリスマスは初めてだ”→“楽しさが分かっただろ?”)
・クリスマスプレゼントは白紙の本(最初のページはヘブライ語で“書く”/“白いページに君の言葉を綴って”)
・ユダヤ教の教え:“命あるものはすべて葉っぱでも鳥でも命の鍵となる秘密の言葉を持ってる それが生き物とただの土の塊の違いだ 言葉は“命”だよ”…素敵な教え 確かに言霊には力がある
・来客が死に瀕していることついて自分を責める少女(相手のためを想って作った雪だるまが原因と思ってる)に対して“想いが溢れたんだ”とのフォロー素敵→盗んだ本の朗読(“その本の存在は誰にも知られない 彼が死ぬその日まで”…皮肉)
・町長夫人の書庫に侵入・盗難(“泥棒じゃない 借りるの” あだ名が“本泥棒”に)
・“本?正気か?飢えてるのに本を盗む?”…自らの飢えより本という知性を求める高尚な精神素晴らしい
・タイミング悪いいじめっ子
・殴られても秘密を守り 川に落ちた本を拾うために寒中水泳をも厭わない(あだ名が“お魚”に)親友…素敵…(そしてキスを求めちゃう可愛さ)(“本は川を流れ 金髪の少年が追いかけた”)
・地下室の検査:ナチスの旗の下に身を潜めさせるという盲点をついたような機転、妻の動揺→“どうした?いつもなら亭主をこき下ろすのに”→“ロクデナシの亭主がちゃんと働いてくれりゃこき下ろす力も残ってるだろうけど”…nice毒舌(実は空襲時の防空壕として使えるかどうかの検査…結果は“使えない 天井が低すぎる”)
・“死んだらその時はその時だ なんとかするさ まだ死んでない”
・授業中に乗り込んで来て わざとみんなの前で叱りつけ、来客の無事(愛のこもった朗読のおかげ?)を伝える新しい母さん…困難の中で素晴らしい愛が育まれてきていて素敵(“怒鳴って悪かったね 伝え方を思いつかなくて 頭が悪いからさ”“こら 笑顔はひっこめて 戻ってしまいをしな”“鬼みたいな母さんに怒られた!”って”“でも私だってね…あんたを…もうお行き 笑顔を消すの手伝う?”→からの名演技…不器用ながらも愛が感じられて素敵…ここにきて母さんの株急上昇↑)
・“嫌いな子より好きな子の方がタチが悪い”
・空襲で避難→父さんのアコーディオン演奏…殺伐とした状況で人々が不安や恐怖にかられてるときこそ 心温まるような芸術って必要かも…
・“1万の人々が頭を覆い恐怖に震えているころ1人のユダヤ人が星空を見上げ神に感謝した”…人々が避難して誰もいない街になったからこそ見上げられる星空 久しぶりの外の空気…皮肉だなぁ…
・息子が軍で戦っていようが、出生届でユダヤ人と判明すれば容赦なく連行される(庇ったものの名前は記録される→一家の破滅を意味する…“人間らしい行動をした”ことが認められない世の中 悪とされる世の中なんて間違ってる…)
・大切な人たちのために自分が出ていく(=殺される)なんて哀しすぎる…(“君が僕を生かしてくれた それを忘れないで”“別れじゃない 僕はいつも君が紡ぐ言葉の中に生きている”…肉体としての人間だけじゃなく、“おもい”とか“心”とか“魂”がすべて)
・餞別(父さん:コート?、母さん:毛布2枚 靴下 とっておいたチーズ、少女:相手を思った熱い視線)…精一杯の愛情が込められているのを感じて心が痛い…
・隣の少年がエリート訓練に選出/父さんの徴兵(少女が“徴兵”を知らないっていうのがこれまた切ない…)
・“母さんを頼むぞ 見かけほど強くない”→“知ってる”…不器用な母さんに対する2人の理解と愛が素敵…
・“父さん 帰ってきてね”…徴兵される人にとって最も複雑な心境にさせる言葉だと思う…かつフラグ?→無事の帰還で本当に本当に嬉しい…
・戯けて見せる隣の少年(スーツ姿で“似合う?”→“靴が変よ あと顔も”/死にたくないから逃げると嘘をつき、荷造りの中身はサッカーボール)→からの本心(“父さんが恋しい 生きてるかどうかわからない”“僕イヤだよ 大人になる前に死にたくない”)の告白…辛い…→心に秘めてたヒトラー嫌い爆発
・亭主のアコーディオン抱いて泣き疲れてベッドで寝てる母さん…人間らしくて可愛らしさ溢れてる→頭なでなで

1942年11月
・“爆撃は激しさを増した”(“私ほど忠実に総統に仕えた者は他にいないだろう”)
・爆撃から避難する中で、恐怖に負けず、物語を語る少女(蘇る父さんのアコーディオン演奏、彷彿とさせられる来客との日々…、“想いが溢れたんだ”)
・母さんのいい意味での変わりようが素敵(父さんのアコーディオン演奏に対し“また聞けて嬉しい”/“もう寝るよ 2人とも夜更かししないでね”/亭主を叩かず肩に手を置く)
・“意味があったのかな 彼(来客)が耐え忍んだこと、私たちがしたことに”→“私たちは人として当たり前のことをしたんだよ”
・目を背けたくなるような現実から目を背けず、真摯にそれを見つめて書き記す少女の勇気が素晴らしい
・“私は鎌を持ったマント姿の死神のイメージを気に入っている だが残念ながら本当の私はごく平凡な姿だ”““天国(ヘブン)”という名の通りを破壊したいものなどいない あれは誤爆だった その夜警報はならなかった”
・“最初はルディの兄弟 私は彼らの夢を読み取り 次に母親にキスをした”“次にフランツの心から邪悪さを盗んだ”“ローザはいびきをかきながら私を“ロクデナシ!”と呼んだ 愛情深さを隠したことを後悔もしていた”“ハンスの魂は子供よりも軽やかだった もう一度アコーディオンを弾きたそうだった 彼の最期のつぶやきは“リーゼル””
・救出されると同時に身近な人々の死を目にしてしまう辛さ…死して後の愛の告白とキス…
・“ルディの魂を私はこの腕に抱きとめた”
・“仕事柄 私は人間のいい面も悪い面も見てきた 醜さと美しさ なぜ1人の人間がその両方を持てるのか”…神が人間に自由を与えたからかな?
・町長夫人との再会…

2年後
1945年 アメリカ軍がドイツを占領
・来客との再会…ハッピーエンドすぎる…素敵…
・“私は多くを見てきた 世界の惨事に立ち会い悪党のために命を刈った 素晴らしい出来事も見てきた だが前に言ったように人はいずれ死ぬ”…少女は90年を存分に生きた(少女の物語は多くの人の魂に触れた/少女が最後に思い浮かべたのは出会った多くの人たち(3人の子供と孫たち 夫 ハンスとローザ 弟 永遠にレモン色の髪をしたあの少年も…)
・“私はこの本泥棒に伝えたかった 人生とは何か君に考えさせられたと だが言葉は見つからず沈黙が残った”“1つ確かに言えることがある 私は人間というものにとりつかれている”

神の子・人間として 人間としてやって当たり前のことをできる人間、正しい生き方ができる人間になりたいと思う
時折現れるナレーションの正体は神の心に叶った人間に憧れる死神?
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