ひろゆき

やさしい本泥棒のひろゆきのレビュー・感想・評価

やさしい本泥棒(2013年製作の映画)
3.4
銀幕短評 (#157)

「やさしい本泥棒」
2013年、アメリカ、ドイツ。 2時間11分。

総合評価 67点。

原題は 「本泥棒」で、主人公を指す。

前回「サウルの息子」に続いて、ナチスドイツもの。しかしユダヤ人の視点からではなく、ドイツ市民の目線で戦争の進展をえがくドラマで、残虐性もほぼなく、若年層が安心して観られる仕立てになっている。ただ途中から進行が散漫になってきて たいへん残念。10分ほど切りつめれば、ぐっとよくなると思う。

主人公は かわいらしい女の子(お人形さんみたいだ)で、芝居がすこぶるうまい。喜怒哀楽をとても自然に演じ分けるし、好奇心と勇気が強く、観ていて とても魅力的である。

初めは教育が遅れていたせいで 字の読み書きができなかったが、里親の深い愛情で 無類の本好きに育ち、周りのひとと繋がりを深めることとなる。

反戦のメッセージを送るものの、このようにマイルドに仕上げられた映画も珍しい。「帰ってきたヒトラー」(#55、83点)も別の意味で珍しいが、こちらはおとな向け。

わたしは子供の頃から 本も映画も(おもにフィクションが)好きですが、それは 短い時間で “自分のリアルな経験や人生とは違うものを体験する魅力、というより魔術” をもっているからだと思います。これらに興味がないひとは、ちょ–っともったいない気がします。


以下、思い出したので 昨年アップした雑記(編注: 本稿を連載してきているフェイスブックです)を再掲します。わたしの読書の嗜好をシンプルに示しています。ああ はずかしい。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆

ロビンソン・クルーソーの巻

わたしはなぜか、ひとり無人島に流れ流されて、一生を終えなければいけない。
そこに 気のよい神さまが わたしの無聊(ぶりょう)を思いなして、「本を10冊までなら 持っていってもいいぜい。ただし、1作家 1冊までだよ」と のたまう。
としたら、さあ どうするかな? と、ヒマにあかせて夢想する。さっと考えて、出てきた順の答えはつぎのとおり。

夏目漱石 「彼岸過迄」
いま またカバンに入っているな。何度目かな。

シェイクスピア 「マクベス」

村上春樹 短編集 「象の消滅」

チャンドラー 「ロング・グッドバイ」

「きけ わだつみのこえ -日本戦没学生の手記」

「広辞苑」 革装版

ドストエフスキー 「白痴」

綿貫 陽 「表現のための 実践ロイヤル英文法」

「ブッダのことば」岩波文庫

プルースト 「失われた時を求めて」
(これのみ 持っていないので 港で買う。ワクワクするな。超長編だけど、一冊カウントで堪忍してくれ。)

やっぱり小説が多いなあ。ひとり一冊の枷(かせ)もけっこうキツイし。

あと 神さまが付け加える。「今週 漂流者だけの特別サービスで、好きな雑誌一年分も 持って行っていいわよ。」あ、女神だったのか。

となると、迷いなく「カー グラフィック」12巻 (毎月 最新号を島までドローンで配送)で決まりだ。これで死ぬまで安心だな。 というか、時間がまったく足りないぞ。
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