乙郎さん

ポール・ヴァーホーヴェン トリックの乙郎さんのレビュー・感想・評価

3.5
 冒頭4分間を映像化して公開し、それから先の脚本を一般公募したという実験的な作品。いわゆるヴァーホーベン的な悪趣味が、映像的に出てきているのは実はこの4分間だったりする。つまり、トイレの中に見えるあれですね。
 私はどうしても去年公開のデ・パルマ監督『パッション』を連想してしまう。コンゲーム的な展開とか、あと音楽がバーナード・ハーマン風なところが似通っている。しかしながら、もっとも似ているのはどちらも老いてなお盛んだということ。
 すごく楽しんだけれども、ヴァーホーベンと聞いて連想する悪趣味さは実はそんなに前面に出てきていない。でも、過去作と同じくらいの満足を得ている。それはひょっとして映画とはもともと悪趣味であるということの証明なのかもしれない。ただし、最後に名前が出てくるラムシュタインというバンドはBOXセットにメンバーのチンコの模型を入れるくらいなので、やはりヴァーホーベン的。
 あと、童貞っぽいお兄ちゃんがちょっとスティーブ・ブシェミっぽかった。
乙郎さん

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